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かくれんぼ

作者: h
掲載日:2025/12/11

 テトとトテはいつもいっしょ。

ふたりはいっしょに生まれたから、手をつなぐ。


テトはいつも明るい子。

突拍子のないことを言って、気まぐれ。


トテはのほほんとしているのんびり屋さん。

ゆっくり話す、マイペース。


 ある日テトはトテに言った。


「遠く遠くまで行こう、太陽だって僕たちを見つけられないぐらい遠くへ!」


トテはまあるく頷いた。


「だったら、あったかくしていこう。太陽が届かないところはきっと、ひどく寒いだろうから」


ふたりはおそろいの赤いマフラーをして、白い手ぶくろをつけて、手をつないだ。


 そうして、歩く、歩く、歩く。

太陽からにげるように、

町に追いかけられないように。


ついにはこんもり雪のつもった、ながいながい道がふたりの前にあらわれた。


どんどん、どんどん進む。


聞きたくないことばがたくさんあったから、

町ではふたりはよく耳をふさいだ。


ざく、ざく、ざく。


いまはそんなことはしなくて良くて、

ただふたりが雪を踏みしめる音と、

お互いの呼吸が聞こえるだけ。


すこしの寂しさはしあわせ。

ふたりは歩く。

太陽はもう少しで、いなくなる。

暗さは不安なのに、ふたりは安心する。


「太陽はぼくらがいないと、かなしいかな?」


トテはちょっとだけ、期待をこめたように言う。


「どうだろう。いなくなったことにさえ、気がつかないかも」


テトはわらっていうから、トテはすこし寂しくなる。そんなトテをなぐさめるように、テトはつづけた。


「でもそれって、不幸ってことじゃないよ」


 ついにまっくらやみがやってきて、太陽はすっかりいなくなってしまった。

月はなにもいわず、かすかにふたりを照らす。


ゆきが、ふっている。

静かに、ハラハラと。


「ねぇ、あそこの雪のじゅうたんって、柔らかそうじゃない?」


トテがゆびをさす。テトはうなずいて、ふたりは顔を見合わせる。


横になってみよう。

ふたりとも思った。


声に出さなくても、お互いが、同じことを思ったことを、なぜだかふたりは知っていた。


ほほえみあうふたりは、これまでずっと、ふたりっきりだった。


そして、ふたりは寝っ転がって空をみあげる。


「きれいだねぇ」


トテはゆっくりと、ぽつり。


 見上げた夜空に輝くのはたくさんの星。

決して手に取ることはできない、たくさんの願いたち。


むすうの、きらきら。


テトはなんだか、胸がぎゅうっとして目をとじる。


「しあわせになりたいな」


テトがこの旅ではじめて、悲しげな声でいう。

そうして、トテはなんだか安心したのだ。


トテは、離れていたテトの手を、もういちどやわらかくにぎった。


「ねえ、テト。ぼくら、ずいぶん遠いところまできちゃったね」


「うん」


テトは、かくれんぼがしたかったんだと気がついた。いつだって、ふたりは見つけてほしかった。


かなわない願いは、どうなってしまうんだろう。かがやきは失われて、もうもどることはないんだろうか。


「ぼくたち、きっとしあわせになれるよ」


トテの目はまだ、星をうつしている。


 テトとトテはいつもいっしょ。

ふたりは痛みをわけあったから、手をつなぐ。


ふたりは遠く遠くにいる。


太陽が見つけられない真っ暗の中で、

お互いの呼吸の音を聞く。


不幸じゃない子どもたちは、しあわせになりたくてかくれんぼをしている。


そんなふたりを、星々は知っている。



(終わり)


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― 新着の感想 ―
抒情詩?でもふたりが『かくれんぼ』をしたかった直接的な理由が書かれていないから微妙。 そもそもラストで『不幸じゃない子どもたち』とあるのに『しあわせになりたくてかくれんぼ』は意味が読み取れませんでした…
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