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妄想ロボ ギジオレ  作者: みつつきつきまる


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 いつものように俺と可奈子は一緒に学校に向かっていた。ただ違うのは、二人が同じ建物から出て来た事くらい。まあ、可奈子が泊まりに来ているのでそうなる。


「ふぁぁぁ・・・」


 大きくあくびする。そりゃそうだろう。


「昨日眠れなかったの?ゴメン、ベッド取っちゃって。起こしてくれても良かったのに」


 手を合わせて謝る可奈子から少し目線を外して、


「すっかり寝ちゃってたからね。昨日も疲れてただろうし」


 そう言えば昨日は隣町でカーチェイスをしていたんだった。今朝のニュースで流れていたが、思ったよりも扱いが小さかったのは、地球連合軍の圧力だろうか。


 可奈子は悪戯っぽく俺の顔を見上げて、 


「変な事してないよね」


 ギクギクギク。胸が鳴る。


「まさか。可奈子が寝たのを見たら、すぐに下に降りたよ」


 胸の高鳴りに気づかれないように、平静を装って言う。


「ふーん。いいんだけどさ」


 つまらなそうに言う。なんだ?変な事して欲しかったのか?いやいや、そんな訳がない。ただ、いちいち心臓に悪い事を言わないでくれ。


「おーい。洸平、可奈ちゃん」


「おはようございます」


 通りの角で晴人とクリオナが待っていた。クリオナのアパートから学校へ向かう道と、俺たちの家から学校へ向かう道がぶつかる交差点。二人はいつもここで待っている。晴人の家は反対側なのに。


 ちなみに可奈子と一緒に連れ去られたクリオナも、安全のためにどこかに匿う事も考えられたが、

トー・レ・ヴィオ側はがクリオナを自分達側の戦力と見ている事もあり、余計な事はしないほうがいいだろうとの結論に達した。


「クリオナ、ここは『ゆうべはお楽しみでしたね』って言うんだぞ」


「それはどういう意味ですか?」


「変な事教えないの!」


 そんな感じで始まったのだが、俺は急いで晴人の腕をとって、二人から距離をとった場所で晴人に声を潜めて言う。


「相談がある」 


「珍しいな。相談なんて。可奈ちゃんに何したんだ?」


「決めつけるな!」


「じゃあ何だよ」


「・・・可奈子の事だ」


「やっぱりそうじゃないか」


 にやにやする晴人。晴人に相談するかどうかは家を出た時からずっと悩んでいた。ただ他に相談出来る人もいなかったし、一人で抱えているのも辛かったので、勇気を出して相談する事にした。


 学校に向かいながら、俺は昨日の顛末を話す。


「ほう。いいもん見れたな」


「いや、そうじゃなくて」


 正直言ってしまうと、いいもん見れたな、と言うのは認める。ただこの相談の本質は、その出来事の前後にあった、気持ちのモヤモヤである。考えすぎて胸やけがしそうだ。


「そりゃお前」


 晴人は当然のように、


「いいもん見れたって、喜んでりゃいいんじゃね。思春期男子なら健全だろ。それよりよく触ってみようとか、チューしてみようとか思わなかったよな。そうなると別の問題が出てくる」


「声が大きいって」


 後ろを盗み見ると、可奈子とクリオナは談笑しながらついてきている。


「でもさ、俺今でみたいに可奈子と接していたいんだよ。だから変な気持ちになるのが嫌だから元に戻りたい」


「贅沢な奴め。学校の男子の前でそれ言ってみろ。袋叩きにあうぞ」


 意味がわからずきょとんとしていると、晴人がため息をついた。


「お前ら見てるとじれったくてなぁ。まあいいや、親友の相談だからアドバイスすると」


「うん」


「デートに行け」


「何で?」


 デートに行く事でなぜ俺の気持ちを元に戻す事が出来るのか。


「分からないか?分からないなら教えてやるが、お前らは今までずっと一緒に遊んだり、勉強したりしてたろ」


 そう。その頃に戻りたい。


「他人から見るとそれはデートだぞ」


「そうなのか?」


「・・・これだから贅沢野郎は・・・一緒に学校に行ってるのももはやデートだ」


 あまり意識した事がなかった。小さい頃から一緒に学校に通っていたので、当然の事だと思っていた。


「他から見ればどう見てもそういう関係にしか見えないんだよ。お前らがどう思っていようとな。だから変に気を遣って距離感気にするんだったら、今まで通りデートに行け、って言ってんだ」


 なになに。今まで日常的にしていたのがデートだったから、ここで改めてデートに行けば以前のような日常を取り戻す、って事か?


「わかった。ありがとう」


「ったく。じれったい親友を持つと苦労するぜ」


 晴人は言うと、クリオナの隣に戻った。可奈子が小走りに俺の方に来る。


「なあ可奈子」


 気持ちが落ち着いたのか、可奈子の顔を見る事が出来た。


「なあに?」


 少し甘えるような可奈子の声。この・・・俺が何を言おうとしてるか気づいてるな。


「今日学校が終わったら映画でも観に行こうか。昨日言ってたしな」


 可奈子はふーんと両眉を上げる。


「本当に誘ってくれるんだ。じゃあ、後は任せるからエスコートしてよね」


「ああ、せいぜいおめかしして来いよ」


「今は帰る場所一緒でしょ」


「そう言えばそうだ」


 そう言って笑い合う。そう、こんな関係が続けばいいと思っている。


「お二人はどうしたんですか?」


 クリオナの声が聞こえる。


「青春してんだよ」


 晴人が言う。それはそれで悪くない。




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