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妄想ロボ ギジオレ  作者: みつつきつきまる


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 今日はクリオナが留学して来て初めての日曜日。俺と可奈子と晴人は、まだ何も知らないであろうクリオナを町に連れ出した。晴人がクリオナを家まで迎えに行き、俺は可奈子と一緒に待ち合わせの場所である虎杖浜駅前に向かった。


 クリオナはその見た目も性格も人を惹きつける魅力があるため、学校の連中とはすぐに打ち解ける事が出来た。噂だが、ファンクラブのようなものまで出来たらしい。そんなクリオナだが、結局は俺たちと行動する事が多い。


 これまでも毎日四人一緒に登下校しているので、そのついでに寄り道をする事は度々あったが、こうして四人で出かけるのは初めてだ。


 日曜日で快晴と言う事もあって人通りはかなり多かったが、虎杖浜市の代表的な待ち合わせスポットである虎の銅像の前に佇むクリオナはすぐに見つける事ができた。白いワンピースを着ていてまるで西洋人形のようなその姿は、周囲とは一線を画していた。隣で晴人が手を振っている。


「待った?」


「いや。でもさっきからクリオナをナンパしようとする連中が多くてさ」


 晴人はクリオナの手を引いてひとごみから抜け出してくる。いつの間にか手を繋いでやがる。


「可奈ちゃんも気をつけろよ」


 晴人はそう言いながらにやにやして俺を見る。俺は晴人の視線を外すように可奈子を見る。いつもはショートパンツが多いが、今日はびったりとしたタイトジーンズ。シンプルで悪くないと思う。


「可奈ちゃんはスタイルがいいからな。何着ても似合う」


「晴人が言うといやらしい意味に聞こえるわね」


「無いとは言わないよ」


「煩悩だけは強い男だからな」


「言うなって」


 そんな事を言いながら繁華街を歩く。クリオナは物珍しそうに周囲の店や人々を眺めている。こんな町の景色が珍しいのだろうか?


「クリオナの生まれた町って、どんな所だったの?」


 俺が尋ねると、晴人と一緒に買ったアイスクリームを嬉しそうに口にしながら、


「私の生まれた星にもこういった町はありました。でも、私はあまり町に出る事はなかったので、こうしていられるのが嬉しいです」


「厳しい家だったのかしら。まあ、いい家柄のような感じはするけど・・・よく留学なんか許したわね」


 可奈子は言う。確かに、クリオナにはどこか世間知らずな雰囲気がある。


「こうして友達と一緒に出掛けられるなんて考えられませんでしたから。とても嬉しいです」


 天使のような笑顔を見せるクリオナ。


「よし。今日はクリオナの行きたい所に全て連れて行ってやるぞ。どこでもいいから言ってごらん」


 晴人は張り切っている。


「私、映画が見てみたいです」


「よーし、おすすめの映画があるんだ」


 晴人がクリオナの手を引いて映画館に向かう。俺と可奈子は顔を見合わせて。


「あの二人、いい雰囲気じゃない?」


「晴人の方がご執心って感じかな」


 そんな事を言いつつ、二人を追った。


 二時間程の映画は感動的な物だったらしい。と言うのもいつの間にか寝てしまっていたらしく、目を覚ました時に可奈子が呆れ顔で俺の顔を眺めていたのだ。だが、クリオナが楽しそうだったのでヨシとしよう。


「そろそろお昼にしようか。クリオナ、嫌いな食べ物とかってある?」


「そもそも地球人と同じ食べ物を食べるの?」


「はい。地球で食べられている物は、全て食べられるはずです」


「随分他人事みたいに言うのね。調べてきたって事かぁ」


 とりあえず食べられなさそうな物は無いようなので、近くのファーストフード店に入り、適当に注文する。クリオナはメニューがよくわからないらしいので、晴人がおすすめだと言うエビのハンバーガーを注文した。映画の件もそうだが、晴人は色々調べて来ているらしい。


 そうして四人はテーブルにつき、先程みた映画の感想を言いながらハンバーガーに齧り付いた。様々な困難を友情をもって乗り越える。信じる友情こそがかけがえのない宝だ、みたいな映画だったらしい。おれは笑ってごまかしつつ、聞き流す。


「こうしてるとグループデートみたいですね」


 クリオナがハンバーガーを頬張りながらしみじみ言った。


「俺は別にグループじゃなくても良かったんだけどね」


 そう言って晴人は俺と可奈子を見る。別に邪魔をしたい訳じゃない。


「晴人がクリオナに変な事しないように見張らないと」


「俺は二人が思ってるより紳士だよ」


 と、そんなやりとりもにこにこと見ているクリオナ。


「三人と友達になれてよかったです」


「友達・・・友達かぁ・・」


 肩を落とす晴人。まあ、気持ちは分からないでもない。


 そうして四人で笑っていると、


「ん?何だ?」


 急に周囲が暗くなる。外は快晴だったはずなのに、まるで夜にでもなったように闇に包まれた。店内の照明は昼間用なので充分ではなく、薄暗くなった店内は軽くパニックを起こしかけていた。


「何、これ?」


 可奈子は立ち上がって窓から外を眺める。俺も可奈子の横に立って外を見ると、闇に包まれた繁華街も混乱した状況に陥っているのが見てとれた。

 

 この闇は―—何かの影?そう思って上空を見上げると、巨大な宇宙船がゆっくりと飛んでいるのが見えた。空を覆い尽くすような、巨大な宇宙船。それがビルの高さぎりぎりを飛んでいる。地球連合軍の宇宙船ならば、こんな低空を飛ぶことは無い。となると異星の宇宙船?これは友好的な行動か?


 ひとまず暗い以外の実害を与えていないその謎の宇宙船は、飛行船位のスピードで町外れの方向へ向かっている。町外れ、積星高校や、秘密基地のある方向だ。


「クリオナは俺が守るからね」


 そう言って抱きしめる晴人に、クリオナはにこにこしている。こんな状況で?俺が可奈子にこんな事したら殴られる。


「秘密基地の方に向かってるな。一応向かってみるか?いや、危ないか。でもおじさんがいるかもしれないしなぁ」


 この宇宙船が何なのかは分からないが、源治おじさんには連絡しておいた方がいいかもしれない。場合によったら避難する必要がある。


 可奈子は携帯電話を取り出して連絡しようとする。


「その必要はありません」


 晴人に抱きつかれながらにこにこしていたクリオナが口を開いた。


「行きましょう」


「どこへ?」


「秘密基地へ。交渉人が到着したようです」


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