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14.罠


「――よし、休憩にしよう」


ゼン神官の指示によって、ぐるりと一周回った所で休憩となった。大穴は大きく広く、また慎重に行っていたため結構時間がかかった。もうとっくに昼は過ぎているだろう。


「ゼン神官。もう少し、見てみないか」


フードをかぶった神官――カミール神官が、ゼン神官に物申していた。頭一つ低いカミール神官だけど、堂々とした態度に、周囲がにわかにざわつく。


「いや、休憩にする」

「まだできるぞ?」

「無論だ。この程度で音を上げる者はいないだろう

「時間は取らせない」

「そういう話ではない。区切りというのがある」


一呼吸置いたカミール神官は引き下がらなかった。フードごしからでも強い決意を感じるようだ。


「……気になる所があるんだ」


ゼン神官の眉間に皺が寄り、影が落ちる。


「カミール神官――貴方の能力は聞き及んでいる。しかし、この調査に必要なのは、個人技ではない」

「すぐ終わる」

「くどい。この話はもう終わりだ」


不機嫌を顔に貼り付けたようなゼン神官。カミール神官に背を向け、キャンプ地へと戻っていく。


「さあ、行きましょう……」


取り残されたカミール神官に従者が寄り添い、戻るよう促しているようだ。



「ブラント、我々も戻るぞ」

「あ、ああ。そうだね……」


レナルドに促される中、どうもカミール神官が気になる。まだ大穴の方を見つめている。昨夜も言っていた、“嫌な魔力”のことかな。ここまで近づけば、ピンポイントでわかるのだろうか。


「ブラントさん?」

「今行くよ、デライラ――」



キャンプに向かおうとした視界の端、カミール神官が動いた――って、走り出した?!


「カミール神官!」


反応しない。気づいてないのか、気づいてないフリなのかわからない。慌てて走り出したけど、追いつけない? 足速いな!


「カミールさまぁ!!!」


俺の後ろから、従者の声が聞こえる。気づいて追いかけているようだ。張り裂けるような声色から必死さが伝わる。

走り続けると、緩やかな傾斜の終わりあたりにカミール神官はいた。


「ブラント、それ以上近づかない方が良い」

「カミール神官、何を ……って、なんだコレ?」


カミール神官を中心に四方を囲む物体が、地中から現れている。角張った機械のような物体。放電するかのような魔力が視認できる。


「おそらくトラップの類だろう――大丈夫」

「え、トラップ? 大丈夫って、何を言って……」


カミール神官は両手を広げると、赤い光が地面に流れ込む。あれは火属性の魔法?

火の魔力が地を這うように広がり物体に触れる――瞬間、強烈な光を放つ。


「くっ……!」


一瞬遮られた視界。どうにか目を開くと、そこには白い光で囲まれたカミール神官がいた。

物体から放たれた魔力は、四角錐状に展開し、カミール神官を取り囲んでいる。


「これは魔法障壁?――」



途端、鈍く響く爆発音。


遅れた衝撃が肌に触れる。


魔法障壁内は、爆煙で充満して何も見えない――カミール神官の姿も……


「嘘だろ……」

「カミールさまああ!!!」


駆け寄るカミール神官の従者たち。叫び声は虚しく響き、俺のつぶやきをかき消した。



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