表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/88

10.集結


翌日――


柔らかな陽光が降り注ぎ、澄んだ空気に包まれた早朝。スカーレリア神殿の周りは、人々でごった返している。


「朝早くから、お祭り騒ぎだね」

「王都からの神官が訪れるなど、珍しいからな」


俺とレナルドは、来訪する神官達を出迎えるために神殿に呼ばれていた。人混みを通り抜け、神殿前広場に向かう。


「お二人とも、おはようございます」

「おはようございます、マテオ神官。街中の人が集まっているみたいですね」

「ええ、このような交流はめったにないですからね」


本当はレリクターの調査隊なんだけど、公にされていない。表向きには研修や他都市交流と伝わっている。これは珍しい事で、一目見ようと人だかりができている。

さらに、人が集まる所には金が集まる。目ざとい商人達は目の色を変えて商売に精を出している。


様々な思いで集まる人々を尻目に、大通りを挟んだ神殿広場は、緊張に包まれていた。

神殿を背に並び待つスカーレリアの神官達。マテオ神官を先頭に参列している自分。なんとも場違いなのではと感じてしまう。



「到着されたようですな」


ぞろりと揃う神官の団体が、神殿広場に足を踏み入れる。数人の肩には、高位神官を表す色付きの帯がある。おそらく彼らがレリクターなのだろう。その後ろには従者、いや護衛かな。総勢で十二人ほどいる。この大人数で調査に向かうのか……


「先頭は、王都ヴァイエルの神官だな」

「ええ、ゼン・パーソン様です」


レナルドの問いにすかさず答えるマテオ神官。他都市のレリクターの名前も教えてくれたけど、正直覚えきれない。

レナルド並の大男に、猫の亜人? ……あと一人はフードをかぶってて、よく見えない。


その中でも目立つのは、王都のレリクター――ゼン神官。

太陽に煌めく白銀の長髪と透き通るような白い肌。堂々とした歩みと鋭い眼光は、威厳と畏怖さえも感じる。



「ようこそ、おいでくださいました」

「これはマテオ神官、ご丁寧にありがとうございます」


マテオ神官がスカーレリア神殿の代表なんだな。姉上も高位神官だけど、やっぱり年齢だったり、性別で決まるのだろうか。


ゼン神官が挨拶を終えると、視線を巡らせ、俺の方を見て止まる。こっちに歩いてくる?……違う、レナルドの前で止まった。


「お初にお目にかかります。英雄チェンバレン様。此度はご同行いただけるようで、大変光栄です」

「あ、ああ……よろしく頼む」


ゼン神官はレナルドの前に跪き、ことさら丁寧に挨拶する。その所作は、敬意で溢れている。一方レナルドは、大分困った様子。こういうの苦手だろうからな。


「今は同行者でもある。普通に接して欲しい」

「はっ、かしこまりました」


ゼン神官がレナルドに会釈した後、俺と視線が合う。端正な顔立ちが冷ややかに見え、背筋が寒い。

さっきまでと違う表情――睨まれている?


「君がチェンバレン様のパートナーか?」

「え? あ、はい」


思わず反射的に答えてしまった。


「多少はできると伝え聞いている。だが、足手まといにだけはならんようにな」

「……気をつけます」


ゼン神官は軽く頷き、神官団の列へと戻って行った。


びっくりした。まさか声をかけられるとは思ってなかった。

確かにレナルドに比べれば、俺はまだまだ足りない――が、頭ごなしの否定とは、なかなか良い性格しているよ。

……まあ今回は、“油断するな”という忠告として受け取っておくか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ