16.青い魔法と赤い宝石
「……わかりました」
「よし……まずはこちらに引きつけるぞ。実弾の準備だ」
レナルドがちらりとチェイスを見ていた。チェイスは混乱しているのか、やっとの事で立っている様子。復讐心よりも、恐怖心の方が勝っているように見える。これでは戦力にならない。確かに、こちらに引き付ける必要がある。
意を決して銃を引き抜き、狙いを定め実弾モードにし引き金を引いた。発射音と反動が腕に伝わる。講習の時よりうるさく、反動が強く感じる。
「……全然効いてないですね」
「だが、引き付けは成功したみたいだ」
ゴーレムがゆったりとした動きで、こちらに体を向けた。
「くそ! 俺だって!」
声の方を見ると、チェイスが剣を抜き、構えている? それは無謀すぎるだろう!
「チェイスさんは退いてください!」
「俺だって戦える!」
「アンバーさんが待っているでしょう!」
「……だが」
どうしよう。早く説得しないと、二次災害は確実だ。
「足手まといだ! 去れ!」
「……!」
レナルドの一括。チェイスは何も言えないようで、のろのろと退いて行った。
「……お見事です」
「気持ちを組んでやるのも大事だが、今は一刻を争う」
確かにそうだ。ぐだぐだやってたら死人が出かねない。気を引き締めて、ゴーレムに対峙する。
「属性は――土だな」
レナルドは呟き、掌を正面に向ける。
青い光がいくつも現れ、絡まるように集まり、輝きが増していく。
今までの魔法とは違う!
収束した魔力が閃光となって、一直線にゴーレムの体を貫いた!
「!…… オオオオォォォ……」
ゴーレムが仰け反る。
体の中心部が溶け、崩れ、破片が落ちる。効いてる!
ーーん? 何か、赤く光っている?
「……元に戻ったな」
ゴーレムの内部が赤く光ると、溶け崩れていた部分が修復されていった。まるで何事もなかったかのように。
「効いていたと思ったのですけど」
「効果はあったが、修復されたみたいだが......! 来るぞ!」
「うわっ!」
咆哮とともに、ゴーレムが腕を振りかぶって打ち下ろしてきた。 咄嗟に身を引き、後方に飛ぶーー 直後、轟音と衝撃が伝わってくる。当たったら終わりだ!
「くそっ!」
ゴーレムの動きは鈍い。間に合う。体勢を立て直し、銃のモードを切り替える。標準を合わせ、引き金を引く。赤とオレンジの閃光が炸裂し、重たい爆音が洞窟に響く。当たった!
「……効いてなさそうですね」
「焦げただけか」
やっぱり、レナルドの精霊魔法じゃなきゃ通用しない。でも、修復されてしまったら、決定打にはならない。
「さっきの赤い光、気になりませんか?」
「赤い光?」
「レナルドは見てませんか? 修復される前に、ゴーレムの中で赤く光ったんです」
「……なるほど。興味深いな」
「もしかすると、修復に関係あるかもしれません」
「試す価値はありそうだ。だが、できるのか?」
「やってみせます!」
「いい返事だ」
レナルドは軽く笑いながら、再び両腕を構える。
「ブラント、行くぞ!」
「的は大きくお願いします!」
前方に突き出されたレナルドの両腕が輝く。
現れる蒼色の光。
二つの魔力は、引き寄せ合い、混じわり
渦を巻くように、収束する。
空気が震えているのを感じるーーさっきとは桁が違う!
一際大きな光が放たれ
轟音がゴーレムを直撃する。
「オ゛オ゛オ゛ォォォ!!!」
ゴーレムの表面は吹き飛び、ひび割れ、脆くなった部分から溶けるように崩れていく。
「くっ……」
レナルドが膝をついた。なんだ、どうした?
「レナルド!」
「私の事は良い! 前を見ろ!」
ゴーレムの上半身は半壊し、赤く輝く宝石のようなものが露出される。光の正体はあれか?
迷わず狙いを定め、引き金を絞る。
狙いを撃ち抜く一閃
弾ける光と破裂音
ガラスが砕ける様な高い音が反響する。
「……”宝玉”」
呟くようなレナルドの声が、はっきり聞こえた。
ゴーレムの体は大きく溶け崩れ、露出していた赤い宝石は半分ほどに割れ、光を失っている。やっぱりこの宝石がゴーレムを修復する機構だったのだろう。そう確信した直後、ゴーレムの身体全体に大きな亀裂が走る。崩壊は止まらず、やがて土塊となっていった。
今回も読んでいただき、ありがとうございます!
ゴーレムとの戦闘シーン、いかがだったでしょうか?
銃や精霊魔法のエフェクト、そしてゴーレムの迫力を感じてもらえたら嬉しいです。
明日からは一話ずつの投稿となりますが
ここからは、この章のクライマックスへと向かっていきます。
行方不明者ビリーはいずこに?
ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
引き続き、よろしくお願いします!




