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24 俺たち蝶々

ラーナリー郊外円形ダンジョン5階 ーエミル・D・アサネー


 大きな音がして、べつにそっちに行かなかったけど、そいつは勝手にやってきた。

「はあっ?なんでこんなのがここにいるんだよ?」

 こんなの、初めて見たヨ。

 

 ああぁこれ嫌だな・・・。ふと、周りを見る。女性陣を見る。あー固まってるな。そりゃそうか。


 だって・・・クモだもん。クモのアッケーノ。

 でも、普通、冒険者ギルドの管理するダンジョンにアッケーノは出ないんだけどな。

 まぁ、それは後で調べるとして・・・おっと!


「や~め~て~」叫んだのはルシーナだ。

「コ〇ス!」あーマヤはすでに矢を放ってる!


 普通の攻撃は効かないようだ。さすが石の魔物アッケーノ。防御力はハンパじゃない。

 八つの足が刀のようになってる。

 こりゃ、真剣にやらなきゃケガをする。

 

 でもこいつは厄介だなぁ。属性が分からねぇ。見た目からは(ヴェネーノ)とか(マル―モ)っぽいけど・・・。

 様子を見るか?


 核は・・・あそこだな。やっぱり腹ん中が光ってる。


「マヤ!ルシーナ!核は腹だ!」

「ええ?あそこが一番固そうなのにぃ。しかもでっかいし。」

 そうだな、マヤの矢でピンポイントで狙うには正確な位置が分かりづらいだろうな。


「ルシーナ!これ使って!」

 折れた剣を握りしめていたルシーナにマヤがLv.20の魔法剣を投げた。

「ありがと!」

 瞬間、夕電泡雷が煌めいて、同時にクモの足が一本飛んでいた。

「うまい!」

 ルシーナは攻撃力を得た途端、アッケーノの弱点である関節部を狙って斬り落としたんだ。

 さすがのアッケーノも関節部を石の鎧では覆えない。関節部は厚い独特なゴムのようなモノで覆われている。しかし、比較的柔らかいといっても、並みの武器と技量では刃が立たない。ルシーナの腕があってこそだ。


 ん?おかしいな。マヤの矢が全然当たってない。いや待て、ルシーナもだ。足を一本切り落とした後、攻撃が全部、弾かれるか避けられている。あの二人の攻撃がこうも読まれるのは変だ。


「みんな、気を付けて!小さなのがたくさんいる!」

「い~っ!こいつら、子グモ?」

 小さな刃をもった子グモだ。

 うわっ、危なっ!こいつらも石かよ。アッケーノの石の刃が飛んでくる。


 なんか、おかしいぞ。なんか、違和感がある。なんだろう?何か・・・

 しかも、なんでこんなにクモ同士、連携が取れてんだ?


「近づけないよー。」

「やだぁ!なんで狙いがそれるの?」


(ルーモ)属性じゃな。」

 え?何?じいちゃん。今、(ルーモ)属性って言ったの?

「星霜の冥漠」

 おおお、じいちゃん!それ、相手の視界を奪う(マル―モ)魔法じゃないか!

 そうか!やつらを暗闇状態にして視界を奪い、連携を崩す気だね。


「エミル、足元を見てみよ。」

 うわー。じいちゃんの(マル―モ)魔法で、アッケーノを中心に、(マル―モ)、これは夜空?いや、宇宙が広がっている。


 へ?何コレ?足元の宇宙に浮かび上がるものがある。

 (マル―モ)魔法のおかげで暗くなったから視えるもの。

 光の・・線。

 いやいやこれはクモの巣。光のクモの巣が張ってある。


「ワシらは、知らん間にクモの巣に捕らえられた獲物だったのじゃ。」

 げっ!俺達はヤツのクモの巣に絡めとられていたのか。

 でも、ネバネバはないよ。普通に動けるし。

 ほら、蝶がクモの巣にかかってジタバタして、ワーッってクモが寄ってくるあの感じじゃないじゃん。

「これはの、ワシが思うに網じゃよ。」

 

 アミ?網・・・ネット!?


「クモというものはの、巣の振動でも獲物を感知している。情報の収集じゃな。」

「情報の収集って、じいちゃん。べつにこのクモの巣はベタつかないし、揺れもしないよ。」

「それはの、電気(フルモ)じゃよ。生物は脳内で意志を決定する時、微弱な電気(フルモ)信号が起きる。」

 あーそれ。前世で何か聞いたことあるぞ。ニューロンとかシナプスとか。よく分かんないけど。

「おおかた、この光の糸はの、わしらの脳の発する電気(フルモ)信号を感知して、そのタイミング、方向をアッケーノに伝えるのじゃろう。そしてもう一つ厄介なのは、その情報を子グモと共有しているということじゃ。」

「妙な連携はそれか!」

 うーん。この巣に足を触れる限り不利だな。

「しかし、弱点もあると思うぞ。」

「あんの?」

「あいつの目をよく見ておけ。」

 そういうと、じいちゃんはおもむろに短剣をクモに向かって投げた。しかも目に。弾かれたケド。

 甲高い音が鳴ったと同時に黒い目が赤黒くなった。

 ああ、最初に感じた違和感はこれだ。

「ワシを敵として指向(アサイン)しおったの。」

「じいちゃん、弱点って?」

「敵を相手できる数。目標対処数とでもいうのかの。」

 このクモの目は全部で八つ。今まで攻撃したのは、マヤ、ルシーナとじいちゃん。赤黒い目の数は三つだ。

「ルシーナ!ちょっとクモの後ろに回りこんでくれ。うん。止まって。次はマヤ、頼む。」

 そうか、赤黒い目が彼女たちを追って動くぞ。


「じいちゃん。その対処可能な数ってのは八つだね!で、これ弱点なの?」

「おお、気づかんかったか?初撃は全て当たっておるのよ。」

 ん?マヤの矢。ルシーナは足をちょん切ったし、じいちゃんは目に短剣を当てた。

「このアッケーノはな、なまじっか頑強なせいか初撃は防御をしないようじゃ。敵意があるものに刃を向ける。そして、相手できる数は八つ。では次の実験じゃ。ルシーダ!Lv.1の雷溶獣(フルモスライム)を八匹出してくれんかのう」


「うん!わかったよ。おじいさん」

 ルシーダはLv.20の魔法剣のLv.8分を使ってLv.1の雷溶獣(フルモスライム)を八匹作り出してくれた。

 雷溶獣(フルモスライム)魂封印(シール)、紫黒の深淵のスキルだ。雷溶獣(フルモスライム)が使役できる。

「母グモに攻撃開始じゃ!」

「はぁーい!」

 一斉に雷溶獣(フルモスライム)がクモのアッケーノに雷撃を浴びせる。全弾命中だ。

 そして、マヤとルシーナとじいちゃんに子グモは攻撃しなくなった。

「八を超える数で攻撃すると、古い目標は忘れる(リセット)みたいじゃの。」


 ・・・といことは、初撃なら攻撃は当たるということか。

「あとは、有効な攻撃は何かということじゃの。」


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