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23 へぇ、いいじゃん

ラーナリー郊外円形ダンジョン5階 ールシーナ・D・カタキー


 どうしてこうなったの?ここまでする気はなかったのに。

 でも、なんでか、エミルのことになると引き下がれない。

 いつもは、こんなことは言ったりしたりしないのに、彼のことになるとなんというか、腹が据わるというか・・・。

 理由のわからない気持ちだわ。エミルとは生まれる前にも何度も会っているような・・・。


 痛っ!それにしてもこの娘、結構強いわね。

 剣を試すテスト。私は剣士の冒険者S級。あっちは弓矢使いのA級らしい。

 弓矢使いって言うから、Lv.20の魔法剣はあっちに渡して、こっちはLv.10の魔法剣のハンデだけど・・・。

 もう少し、真剣にしないとダメなようね。ケガさせない程度に。


「あなたぁ結構やるわね!」

「狩人はね、弓に何かあった時に対処できないと死ぬのよ!」

「それにしても、気持ちが乗りすぎじゃない?」

「あんたをケモノって思ってやってるだけよ!手を抜くと・・・死ぬっ!」

「テスターでしょ?テストしなくてい、い、のっ?」


 今の払いを避けるか!わっ!カミナリが飛んできた!これは・・・この剣のスキルね。

 よし!夕電泡雷だっけ?こっちも試してみるか?

 おりゃっ!あれ?あっちの方が全然強いじゃん。

 あーこれがレベル差かぁ!レベルが10違うと威力は単に倍じゃなくて50倍以上違うみたいね。

 でも、この剣、結構な威力ね。私の剣でさえC級の魔術師の雷魔法の威力はあるわ。

 あっちのは、A級に近いB級ってとこ?


 ん?何か剣から飛び出したな。雷溶獣が1匹?紫黒の深淵ってやつか!大きさ的にはこの階でみる雷溶獣と同じ。

 ああ、そうかこの階では圧力の関係でLv.5の雷溶獣が作れるレベルの上限みたい。Lv.20の剣でレベルを1消費してLv.1の雷溶獣が最大20匹作れるんだよね。その5匹分でLv.5の雷溶獣を作った・・・ということは今、あの剣はLv.15相当にレベルダウンってことか?

 でも、剣を交えると出力はそんなに違わないように感じる。・・・これは。あの剣は今、Lv.10程度ってことだろう。

 雷溶獣に雷撃させて、突っ込んでくるか!甘い!

「んぎゃっ!」

 痛いっ!足が痺れた。やっぱり!もう一匹、Lv.5の雷溶獣を分離させて隠してたわね。

 戦いかたが・・・周到。さすが猟師だわ。

 でも、舐めないでよ・・・ねっ!


「わぁ、さすがS級ね。ルシーナっていったかしら。あの突きをかわして痺れた体で弾くなんてね。」

「そっちこそ、最後に手を抜いた上に雷属性を解いてたじゃない。こっちの剣は折れちゃったけど。」

 ああ、テスト用とはいえ、剣折っちゃった。・・・でもこれ夕電泡雷っていうのは雷属性を付与させていると元の形を雷が維持させている。ある程度は物理的に斬れそうね。このレベルの剣じゃ防御は無理だけど、もっと上のレベルでこうなったら、スキルを発動させている限り雷属性の剣として、物理的にも普通に扱えるな。よーし!ちょっと本気で魔力流してみっか!


 ん?なんだ?剣の様子がおかしい。・・・これは・・ヤバイヤバイ自爆スキル?

 ちょっと!マヤ!逃げて!ごめん!間に合わないっ?

「ルシーナ、ありがとな!じいちゃん!」

 エミルの顔がそこにあった。突っ込んでくるマヤを回転しながらいなして、私から弾ける雷の剣を取り上げるとおじいちゃんに向かって投げた。するとおじいちゃんが銀色の何か?鏡?小皿みたいのを構えたら、その中に剣は吸い込まれて消えた。

「ウチじゃ爆発物はこうやって処理することもあるんだー。」

 ちょっちょっと、顔近いって。

「マヤ、ルシーナ、ありがとう!二人が真剣にテストしてくれたから良いデータが取れたよ。」

 爽やかに言うケド、私、焦ったんだから!

「マヤ、ごめんなさい。自爆するなんて思わなかったの。」

「いいよ。わざとじゃないんでしょ。」

 あぁ良かった。ケガがなくて。私、剣のコントロールでケガさせない自信はあったけど、自爆はホント焦った。それと・・・

「おじいちゃん。ごめんなさい。剣、ダメにしちゃった。」

「ええよ。モノはいつしか壊れるものじゃからなぁ。こちらもすまんかった。テスト用じゃからあえて耐久度の低い市販レベルの剣を用意したんじゃが、折れた状態でS級の剣士の魔力が流れると、そりゃオーバーワークを起こすじゃろうの。これも良いデータじゃよ。売り手の選定の目安になる。」

「最後の雨かよ。もうちょっと指向性が欲しいな。あれじゃ爆弾だ。本人も傷つくよ。」

 エミル、私もそう思った。特にこういう不慮の事故を起こさないために。

「改良、もしくは、削除も考えねばの。これではレベルの高いものを作成することができん。自爆の威力が強いものはの。」

「それなら、矢とか銃弾とかの方が相性がいいかも。」

 マヤ、弓使いらしい発想ね。

「その方向性もあるが、慎重に検討せんとな。まぁ利用法はあるじゃろう。」


「そ・れ・で、勝負の行方はどうなったのかしら?」

 そう、それなんだけど・・・

「そのことなんじゃが、マヤ、お主も冒険者じゃろう?そうそういつもヒマではあるまい。遠征もあるだろうし。こちらも依頼したいことはたくさんあるが、店の運営とほら、先ほどのようなことの検討や調整、改良の時間も必要。たまにある副業程度に考えて欲しい。テースターと武具の相性もあるしな。マヤは弓、ルシーナは剣という風に。店としてももう少し人数が欲しいところなんじゃ。」

「おじいさんが、そういうなら。何か根本的なことが解決してない気がするけど・・・。」

「二人とも、テスターを頼むよ。な?ケンカすんなよ?何でか知らんが。」

 エミル、理解してなかったのね。・・・・まぁ・・・まぁいいか。あら、マヤもそれでいいみたい。

「でもマヤ、手合わせしてみてわかったけど、あなた苦労してきたみたいね。」

「それなりにね。」

「あなたがパーティにいてくれたら心強いだろうと思ったよ。」

「褒め言葉と受け取っておくわ。」

 あれ、この()、こんな風に笑うんだ。へぇ・・・いいじゃん。でも、エミルはあげない。



 ん?何の音だろう?今、揺れたような。

 何だか、悪い予感がする。


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