陰に潜みし黒大鬼
この物語は
フィクション
です。
信長に召し抱えられ、「弥助」の名とともに奴隷から解放されて早一年。
慣れぬ日常にようやくなじんできたかと思った矢先、歴史は大きく揺れ動く。
後の世に「本能寺の変」と呼ばれる大事変。
明智の謀反に討たれた君主を思い涙する者、早々に荷物をまとめて逃げ出すもの。
弥助は焼ける寺を遠めに眺めることしかできなかった。
そんな弥助に声をかけるものがいた。
「早く逃げねば、ぬしも捕らえられるぞ?まあ、武士でなければ命まではとられいがな。」
異様なまでに存在感のない黒ずくめの見知らぬ男。
周囲の喧騒とは切り離されたかのような感覚を覚える。
「ふむ・・・その気があるなら、ついてまいれ。
もし、おぬしにその気があるなら、主君の仇、討てるやもしれんぞ?」
男は踵を返し、背後の闇に消えた。
「進は闇、無論ながら唯では生き残れぬ地獄であるがな。」
周囲に喧騒が戻る中、弥助は信長より授かった刀の鞘を強く握りしめる。
そして、その体格に合った大きな一歩を踏み出すのであった・・・
ふと思いついたので書いてみた。
まあ、こんな感じの導入だったらよかったのになぁってね。