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第6帖
「大事な話があるの」
それに続く言葉を、僕はずっと聞かないふりをしていた。
ねえ、この道を行くと見えてくる場所はどんな景色をしているのかな。きっと大きな川が流れていて水辺には水鳥が住んでいる。急流には魚が一生懸命に流れに逆らって泳いでいるはずだよ。きっと素敵な景色だろうね。
だめだよ、それがどれだけ綺麗な景色だろうと、私たちは一緒に見ることはできないんだ。
「きっと、きっとさ。そのきれいな景色は、私の知らない誰かと、幸せになった時に見てほしいな」
夢は夢のままで。されど、いつまでも現実は現実のまま、春宵は佇んでいる。
春宵に 靡く夜風と 小雨かな
いつにもまして、殴り書き!