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第4帖
広島市中心部から車で1時間ほど北に向かうと、巨大な太田川に沿って山道が続く。民家は少なく、生活の様相は見えない中、太田川の西岸と東岸を結ぶ大きな橋が架かる場所。その傍らに20年も前に廃止されたはずの駅が、ホームと駅舎だけを残してそびえて居た。
線路が敷いてあった場所には日日草と思われる花が咲いていた。山がちで川沿いのこの場所は街中に比べてまだ暑さを感じない。
ホーム跡地から眺める私は、つい「そこに居たら危ないよ」と声をかけるが、この場所に汽車が来ることは20年としてないのだった。
奥山の コンクリートと 日日草