漫才 お釈迦様
何か思いついたので書いてみました。
「それではお釈迦様についてお話しようと思います」
「仏教の開祖様ですね」
「悟りを開いた方という事で今の人と大きく違うと思われますが、意外と離れていなかったりします」
「それはどんな所ですか?」
「『我は人の誹りを忍ぼう。多くの人は実にタチが悪いから』とおっしゃってまして。
要するに、お前ら黙れコラ、という事ですね」
「言い方!」
「仏の顔も三度までと言いますが、調子に乗っちゃった人いたんですね」
「そこは今も昔も変わらないんでしょうけど」
「そんな感じで色々近い所あるんですね。
それでお釈迦様は紀元前の5世紀から6世紀の北インドで一国の王子様として産まれたんですね。産まれた国の名前がシャカ国。母国の名前がお釈迦様という名の由来となっております」
「本名がゴータマ・シッダッタでしたね」
「そして王族として何をやったのか!」
「何でしょう!」
「家出です!」
「言い方! 出家って言って! 文字が前後しただけで印象悪い!」
「『空の空。一切は空である』」
「旧約聖書ですね。伝道者の書もしくはコヘレトの言葉の冒頭」
「王宮から出る時のお釈迦様はこれとほぼ同じことを思っていたようです。いかに贅沢しても苦しいじゃないか。それで家出したのです」
「だから言い方!」
「王族の地位と責任だけでなく、奥さんと産まれたばかりのお子さんまで捨ててます!
今だったら大炎上案件です!」
「酷いけどさ!」
「そして5年間の修行をへて悟りを開く事に成功しております」
「意外と短い!」
「その悟りが本物だったのは確かで多くの論客をバッサバッサと論破させ、それ以上の弟子たちを悟りへと導いていきました。
それを見ていた息子のラーフラ。
『お父さん私にも財産があれば分けて下さい』とお釈迦様と再会した時に言ったそうです。
ちなみにラーフラの意味は邪魔です」
「それはどうよ! 財産の前に改名させて!」
「弟子が相当いたらしいですからね。お金持ちの信者から凄い布施もあったそうですし。
そしたらお釈迦様。『じゃあ、あげよう』と言うや否や。」
「財産財宝の元へ!」
「拉致して丸刈りにして服を剥ぎ取って、家出させました。鬼です」
「言い方! 完全にやってる事ダメですけれどね!!」
「しかも当時は墓場で野宿して、その辺の人から腐りかけの残飯貰って、死体を包んでいた布を体に巻いて服にしていましたからね。天上の王宮住まいから、一夜にして奈落に落とした訳です。鬼畜かと」
「言い方! 悪魔の様な所業に見えますけど!」
「これも理由はありまして。その後お釈迦様の出身国であるシャカ国は滅亡してしまうんですね」
「ああ何てこと」
「息子の命を救うために必要ではあったんですね。他の人たちは見殺しですけど」
「余計な事言うなよ!」
「そんなこんなでお釈迦様の活動は35歳で悟りを開いてから80歳の入滅まで45年間も活動を続けておられました。
その間に999人殺した連続殺人鬼を弟子にしたり」
「それ大丈夫ですか!」
「弟子には出家してない人と交わるなと言いつつ、自分は結構あちこちの人の悩みを聞いてたりしたり」
「まあ、多少はね!」
「ツッコミ所を作りながら人々を導いたのは事実です」
「ツッコミ所とか言わないで! 45年もやってたら矛盾もできちゃうからね!」
「のちの人からこんな言葉で評価されているのを最後に言いましょう」
「どんな評価でしょう?!」
「『釈迦といふ いたずらものが 世に出でて おほくの人を迷わすかな』」
「誰だよ! そんな罰当たりなこと言った奴!」
「一休さんです」
「何も言えねぇよ!」
我は人の誹りを忍ぼう。多くの人は実にタチが悪いから ダンマパダ