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明日を見続ける馬鹿が居た

作者: V私立桜咲学園文芸部

「明日はさぁ——」


 常に明日を見続ける馬鹿が居た。


「多分楽しい一日になる気がする!」


 常に明日を語り続ける馬鹿が居た。誰よりも笑顔で、幸せそうに語る馬鹿が居た。俺はそいつが馬鹿だと思う。どうなるのか分からない明日を見続けるそいつが。“今”に目を向けないそいつを。


「どうしたよ、そんな暗い顔して」


 とんでもないミスを犯した俺にお前は笑顔で話し掛けてきた。


「ほっといてくれ」


 お前みたいな能天気に話す事なんて何も無い。目先のことで手一杯なんだ。この苦しみがお前なんかに分かる訳ない。


「お前ってさぁ。いっつも退屈そうだよな?」


「はぁ?」


 人が落ち込んでる時にこいつは……気遣いの一つも出来無ぇ人間なのかよ。


「今はどうしようも無い事なのに延々と悩み続ける。起きてしまった過去を悔やみ続ける。何も解決しないのに。どうしようもない事ばっか考えて一体何がしたいんだ?」


「……っ」


 何も言い返せなかった。こいつの言う通りだ。俺がすべきは後悔ではなく解決策を探すこと。今がダメなら明日どうすべきか考えるべきだ。

 馬鹿だと思っていたそいつは、俺が見えていなかった明日が見えてたんだ。俺が今と過去を悔やみ続けて足踏みしてる時でもこいつは。


「一緒に考えようぜ! 明日にはきっとどうにかなるって!」


 明日がある。明後日もある。今どうしようも無い問題でも明日の出来事によって全てが裏返るかも知れない。もっと酷くなる可能性だってあるけどな。

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