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訪問者

ども。書き忘れていたのですが、この作品は神話の設定だけ使って話の内容はガン無視していますので神話大好きな人は注意してください。

朝食を食べ終えると、玄関がノックされる。


「誰か来たらしい、私が出よう」


タナトスが席を立った。


誰だろうか。この家には近所なんて呼べる家は一軒もないけど。


「知恵のある魔物達じゃないかな?彼の作る万能薬はよく聞くと言うし、クロナが産まれる前からもちょいちょい来てたよ」


クロノスが私の疑問を察したように答えてきた。

でも、


「父様が薬を作っている所を見たことないんですが」


そう。タナトスは基本、私と書斎で本を読むか、たまに食糧の調達に行くぐらいでほとんど動かない。


クロノスなら作っている所を手伝ったりしたことがあるんだろうか。


「ボクも見た事ないよ」

「期待した私が馬鹿でした」

「ひど!?」


クロノスも見た事ないとなると、一体どこで作っているんだろう。


「タナトスが言うには、霊達に作らせているらしいよ」

「霊?」

「うん、彼は死人と対話して力を与えられるんだよ。見たことないけど」


クロノスは、食器を持って台所へ消えていった。

私も書庫へ行くため席を立つ。今は読みかけの本があったのだ。


リビングを出ると玄関が開きっぱなしになっていた。タナトスが開いたままどこかへ言ってしまったのだろうか。それとも風で開いたんだろうか

いずれにしても、ドアを開けたままにするのはまずい。ここには、大きさを変えられるドラゴンや人に化ける龍が居る。

入ってきたら一大事だ。


玄関に近寄ると、黒い人影がドアからあいってきた。タナトスだろうか。


「父様、玄関を開けっ放しに…した……ら…」


そいつは父様(タナトス)ではなかった。

そいつは、黒いコートに深くフードを被っていた。長身で男か女か分からず、口もとは歪気味に笑っていた。


「君は……そうか、奴らの子か」


その声は男のものだった。

フードから少し覗く細い目が確実に私を捉えていた。

その瞬間、私の背中にこれまでないほどの寒気が走った。こいつヤバい。ここには、ドラゴンとか魔人とか色々いるけど、比べ物にならないくらいにヤバい。


「あ……あのーーー」

「君のお母さんは、何処にいるか分かるかい?」

「えっ」


男は、私の身長に合わせるようにかがみ、聞いてきた。

クロノスなら今キッチンで、朝食で使った食器を洗ってるだろう。

だが、こいつに話してもいいのか?


いいや、ダメだ。言ったらクロノスが何されるか分からない。


「き、今日は朝から出かけてる」


ここは何とか誤魔化して帰ってもらおう。と、考えてる間に、男は困った様なポーズをして、


「そっかー、居ないか。じゃ、私は出直すよ」


とぼとぼと、玄関まで歩いていく。と、玄関扉に手を着いたところで、ふとこちらに振り返った。


「ところで、君」


気づくと、男は私の目の前に、私を覗き込むようにたっていた。


「君は綺麗な目をいているね」

「えっ」


私の肩に手を置き、まじまじと私の目を覗き込んでくる。その口は、さっきよりも歪んでいた。


その瞬間、私は全速力で逃げ出した。

何あいつ!怖!怒った時のクロノスより怖いんですけど!?

この先はクロノスの部屋がある。あそこなら鍵はかかるし、あいつも入って来れないだろう。


「コラコラ、逃げちゃダメじゃないか」


男がそんなことを言いながら歩いて追いかけてくる。だが、私にそんなことを気にしている暇はない。

クロノスの部屋の前に着く。振り返っても、男はまだ少し遠くの方にいる。

左手でドアを開けようとすると、


ふっと左手が空を切った。


ドアノブが無くなった?いや、違う。

無くなったのは、私の……


「アグッ!?」


突如、左腕が激痛に襲われ痛みのあまり倒れる。いや、痛いのは肩だ。と、そこで気づく。肩の激痛、そしてこの……左腕の喪失感。


「腕がない……!?」

「お、意外と冷静」


呟いた声に返事が返ってくる。痛みで悶える中何とかそちらに振り返ってみると、男は私の目の前にいた。その手には細くて白い腕があった。


「私の……アグッ!」


腕。と、言おうとしたところで、左肩を踏まれる。


「ほらー、逃げるからだよ?」


私が悶える中、男はたんたんと続ける。


()()殺しちゃダメって言われてるから殺さないけど、腕の一本や目の一つくらいなら許容範囲でしょ」

「目……!?」

「そ、目。私は目のコレクターでね。綺麗な目があるとついついほじくり返したくなるんだよ」


ゾワッと、さっきの寒気よりも強い悪寒が私を襲う。

逃げなきゃ!逃げなきゃ死ぬ!

そう思い、片腕で這いずって男から遠ざかろうとする。痛みはだいぶ慣れたが、痛いのは痛いし血も止まっていない。このままじゃ失血死する。


「どっちの目がいいかな?右にする?あ、そうだ!」


男は駆け寄ると、グッと私の顔を掴みあげ自分の目線の高さに合わせる。腕からボタボタと血が流れ出てくる。

どれだけ出たんだろうか。視界がぼやけて、上手く頭が働かない。


「左腕を取ったんだから、目も左にしようか。そっちの方がかっこいいよ」


と、男が謎理論をかましているが私にはもう聞こえていない。


「じゃ、バイバイ」


そして、私の意識は暗闇に沈んで行った。

最後まで読んでくれてありがとうございます。良かったって人はまた見てください(*^ワ^*)

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