異人類(ヒューマン)の旅立ち 3
これからの話は一気に飛んで五年後の話です。
五年後
「ハア、ハア、ハア、ハア。やっと終わった〜!」
「このくらい序の口だ。こんな訓練で疲れるようなら異能力を保てないぞ。」
「師匠はいつも厳しいんだよ。それにしても、あれからだいぶ変わったよな。」
「まあ五年前の方がまだ可愛げがあったかもしれないな。」
そう、5年前の方がまだマシだった。何故なら、異人類は絶滅寸前にまで追いやられてしまったからだ。今は神谷師匠と色々な所に行って旅をしている。日本全国の異人類を助ける為に。何故異人類がそこまで追い詰められたかと言うと、新人類が俺達異人類を特定する為の道具を開発したからだ。師匠の言うには、異人類の異能力は能力が違えど、同じような電磁波を異人類同士で送り合うらしい。その力を新人類が開発して作った事で、俺と神谷師匠は新人類に見つかって殺されないように日本中を旅をしている。
「そろそろ行くか、」
「今度は何処に行くんですか?」
「新人類の二番目に多く住んでいる京都だ。」
「な、殺されますよ!」
「実は異人類の仲間が京都に残っている事が分かったんだ。」
「でも、下手な動きをすれば新人類に、・・・。」
「そうだな、それに新人類の二番目に多く住んでいる町だから、当然新人類は異人類への対策も怠ってないだろう。それでも、俺は異人類の人達を助けたいと思っている。」
「もし、師匠が死んだらどうするんですか?」
「俺が死んだ時はお前に俺の想いを託すだけだ。」
「それ初めて聞いたんですけど、」
「そりゃそうだ。今初めて言ったんだから、それに俺は今でも異人類と新人類が手を取り合う関係になる事を望んでいる。」
「もう聞き飽きる程聞きましたよ。その台詞、まあその前に異人類が絶滅しそうですけどね。」
「その異人類が絶滅しない為に俺達が旅してるんだ。」
「分かってますよ、ただ最近それが可能なのか自分で疑問に思ってしまうだけです。」
「そういう時は、このお守りを持ったなさい。」
師匠から小さな小包みを渡された。
「何ですかこれ?」
「その中には、俺の異能力を込めて作った異人類のカケラだ。それを持っておくと、心が折れそうな時でも心がスッキリするんだ。これを毎日肌身離さず持っておくと良い。」
俺は師匠から小さな小包みをズボンのポケットの中に入れた後、師匠と一緒に京都まで行く事になった。
一方その頃
東京
この場所には、異人類を滅ぼす為に結成された新人隊と言う集団が集う場所だ。そこには、戦闘狂な者もいれば憎しみに染まった一生を復習に捧げる者までいる。
「おい、伊織はいるか?」
そこには、男勝りな性格で尚且つ見た目も男に見える残念な胸板をした女性がいた。
「どうしたんですか先輩、」
「一緒に訓練所でやらないか?」
「また訓練所でやるんですか!?先輩はどんだけ戦闘狂なんですか。」
「別に良いだろ、異人類はまだ滅んでないんだ。その為の訓練はいくらやっても無駄ではない。」
「でも先輩の武器と俺の武器では俺の方が有利になりますが良いんですか?」
「望む所だ!」
「ハア、じゃあ訓練所で先輩の気分が落ち着くまでやりましょうか。」
彼らは東京で活動しているグループ、"新人隊"だ。異人類絶滅を計画して集められたメンバーだ。異人類を絶滅させる為に大人から子供まで関係なく所属している。中には、異人類との戦争で親が殺された人もいれば、ただただ己を高める事を望む戦闘狂もこの中に入っている。このグループが目標にしているのは、言うまでもなくもなく異人類の絶滅だ。新人隊は異人類を絶滅するために背中に新人類のSのイニシャルを刻んでいる。
異人類と新人類がどれだけ対極の存在なのかを考えて出しました。