異人間(ヒューマン)の旅立ち 2
今回は、葉山君の修業タイムの話です。
数日後
俺には、親の代わりに必死こいて俺を育ててくれている人がいる。その人は俺に異能力の扱い方を教えてくれる師匠だ。どんな時も頼りになるが、どんな時も新人類と異人類が手を取り合う事を望んでいる人でもある。
そんな俺の師匠の名前は神谷陽炎師匠だ。師匠は、今日も俺に異能力の扱い方を教えてくれている。
「葉山、異能力で大切なのはなんだと思うか?」
「体の血の流れを意識する事ですか?」
「それもあるが、もっと大切な事がある。」
「大切な事?」
「それは、自分を信じる事だ。」
「信じる事が異能力とどう関係するんですか?」
「葉山も知っての通り、異能力は人を殺す為の道具じゃない。そもそも異能力とは、その人の性格を表す力なんだ。その人によって異能力の威力も違えば、扱い方も違う。だが、今の世の中じゃ異人類は異能力を新人類を殺す為の道具としてしか見ていない、しかしそれは仕方ない事だ。争いが起きてしまった事には変わりはない。だが、きっと争いを失くす為の力が異能力であると異人類達が気づくのを俺は信じている。」
「もし、俺が人間を殺す為に異能力を使ってたら師匠はどうしてましたか?」
「もしそうなら俺は葉山と関わろうと思わないだろう。新人類側からしたら俺達を怖がってヒューマンウェポンなんて作ってるしな。まずは、力を抜いて俺に異能力をぶつけてみろ。」
「分かりました。ハア〜!」
俺は師匠に向かって両手を前に突き出したポーズを取る。何故かというと、師匠曰く、このポーズが一番異能力を発揮できるからだそうだ。
俺は右手の拳を握りしめて師匠に向かってそれを放った。
師匠は、俺の拳を何も無かったかのように左手で受け取られた。
「クソ!?またか、」
「お前の異能力は体を蒸気機関車のように熱くして、体中の血液を循環させる能力だ。スピードが速いが、力量は全くないな。お前の何点は異能力を維持しようとするから力が減ってしまう。もう少しスタミナを増やす事が今後の課題だな。」
「クソ、疲れた〜!」
「まあこれでも飲め。」
師匠が渡したのは、中が凍っているペットボトルのスポーツ飲料だった。
俺は師匠の手から渡されると、俺の両手が熱すぎたせいか、すぐに溶けているのがわかった。
「後数年は同じ事を繰り返すぞ。」
「え、数年もですか!?」
「当たり前だ。その年で異能力を扱えるようになった人は見たことがないし、そんな人いたらそれこそ天災だ。お前は天才ではないんだから時間を掛けて修行するつもりだ。今以上にキツくなる事を覚悟しておけ!」
今俺の異能力を扱う修業は数ヶ月前からやっている。場所は鴨川山の頂上だ。俺は今、神谷師匠の家で暮らしている。神谷師匠は俺の保護者だ。
異能力に名前は必要だと思いますかね。