第十五話
「お待たせー、やっぱり俺の親は千桜の家に行ってるみたいだ」
家から葵が出てくると、一枚の紙を俺たちの前に出してきた。
その内容は、家に帰ってきたら千桜の家に来なさいという内容だった。
「必要な荷物とかは親が全部持ってったみたいで何も無かったな」
「そうなのか、じゃあ千桜の家に行くか」
「分かった、案内するわ」
千桜はそう言って、先頭を歩き始めた。
ほんの少しだけ歩くと、大きな塀に囲まれた家がある。そして、それが千桜さんの家だ。
「ここよ、私の家は」
千桜が止まった所は、三メートルくらいの大きな門があり、隣に小さな扉がある。
門の上の方には看板が立て掛けられており、『霧雨流道場』という文字が達筆で書かれている。
「デカイなーこの門は」
「俺も最初ここ来た時はビビったわ」
「凄い門ですねー」
「さぁ、こっちよ」
千桜は横の普通のドアを開けると、そのまま中に入った。
「やっぱりそこから入るのか」
「ええ、毎回毎回大きな門は開けるのに大変だもの」
「あぁ、確かに」
「ほら、行くわよ」
俺たちは千桜のあとを追い中へ入る。そこでまず目に入ったのは立派な庭園と、その奥にある道場だった。
「わぁ、綺麗ですね!」
「ん、綺麗」
「そうですね、綺麗です」
女性陣はどうやらこの庭園が気に入ったらしく、周りをキョロキョロとしていた。
「ん? 道場から誰か来たぞ?」
「あら、半蔵さんじゃない」
「お帰りなさいませ、お嬢」
「ええ、ただいま。お父様たちはどこにいるのかしら?」
「屋敷の方にいらっしゃいます」
「なるほど、分かったわ」
千桜はそう言うと、半蔵さん? の横を通り過ぎ、道場に真っ直ぐ行く道ではなく、途中に横道へと入って行く。
それを俺たちは慌てて追いかけた。
「いやーやっぱり千桜がお嬢って呼ばれてんのは少し笑えるな」
「何よ、仕方ないじゃない。お嬢って呼び方が定着しちゃったんだから」
「千桜さんのお嬢って呼び方カッコイイですね!」
「そ、そう?」
いやー、千桜の性格知ってると「お嬢」って呼び方にも納得だな。
礼儀正しくお嬢様みたいな口調で、尚且つ少しSが入っているので、とても似合っていると思う。
「さて、ここよ。私の家は」
さっきから目に入ってはいたが、近づくとここだけ昔に戻ったかのような立派な日本風の瓦屋根の屋敷があり、横には昔からある白い壁や瓦屋根といった倉庫がある。
「おぉ、デカイな」
「まぁ二階建てなんだけどね。結構広いのよ」
そう話していると、目の前の玄関のドアが開き、俺が何度も何度も前にボッコボコにされた人が現れた。
「おぉ、もう着いていたか」
「はい、お爺様。先程帰りました」
「蓮哉くんと葵くん……それにその他の人たちもようこそ」
「えぇ、お久しぶりです」
「はい」
「さて、ここではなんだ。中に入ろう」
「お邪魔します」
千桜のお爺さんのあとに続き、千桜が入り、俺と葵、その他の人たちが中へと入る。
靴を脱いで靴箱へ一人一人靴を入れると、お爺さんのあとへついて行った。
「どこからここまで来たんだい?」
「駅近くのショッピングセンターからよ」
「なるほど、そんなのかい。ところで、昼から現れた半蔵がいうには『ステータス』? とかモンスターとかどのくらい理解している?」
「『ステータス』は一通り、蓮哉から教えてもらったわ。あとはモンスターも結構倒したし、後は魔法ね。使えるようになったわ」
「ほぉ、蓮哉くん。後で私たちにも『ステータス』について教えて貰えないかい? それと、魔法に関しても」
「はい、いいですよ」
このお爺さん。俺が多分レベルが上がってるこの状態で戦っても絶対負けるだろうな……それに加えて『ステータス』を弄り、魔法も取得してってどんだけだよ。
「さて、えーここだ。入ってくれ」
広い屋敷を歩いていると、急にお爺さんは止まり、襖を開ける。
お爺さんの言った通りその襖の中へとはいると、千桜の両親や葵の両親がいた。
「おぉ! 葵! 先に来てたぞ」
「お、無事だったんだね」
「そりゃーな! 途中、骸骨野郎に襲われたけど木刀でバラバラにしてやったわ!」
はは、そういえば、葵のお父さんもこの道場通ってたんだっけか。そりゃスケルトン相手でも無傷だわ。
「さて、みんな座って座って」
「あ、はい」
お爺さんの言う通りに、前もって用意されていた座布団に座る。
「あれ、数がピッタリだ」
「多分、半蔵さんが先に来てたんでしょうね」
あぁあのさっきの人か……て、え? さっきのあの人俺らより早くここに到着してたわけ?
そんなことを考えていると、一番前に座ったお爺さんがみんなに向けて話し始めた。
「さて、みんな揃った事だし話すかね。えー、これからこの家を拠点として、モンスターが現れたこの世界をここにいるみんなで生き抜いていこうと思っている。みんな協力してくれるかな?」
「当然、家族単位よりこうして集まった方が安全な訳ですし」
「それにここはデカい塀もあるしな」
「よし、では明日から食料を確保しに行こうと思う。みんなよろしく」
この家は何かと安全だしみんながいるから戦力的にも大丈夫だ。
「さて、話すことは済んだし、あとは任せたぞ」
「分かりました」
お爺さんは、千桜のお母さんに残りを任せ、俺たちの方にやってきた。
「さて、蓮哉くん、葵くん。君たちの成長見せてもらおうか」
どうやら、お爺さんと戦うことになったようだ。
誤字脱字ありましたらお知らせ下さい。




