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プロローグ
君たちは幼い頃の思い出と聞くと何を思い浮かべるだろう。原っぱを友達と駆け回ったこと?はたまた買ってもらった玩具を兄弟に取られて喧嘩した事?あるいは親に叱られて泣きべそをかいたこと?それとももう覚えていることはないか。僕ももうほとんど覚えていないが、今でも1つ、覚えていることがあるんだ。今でもたまに夢に出て来るんだよ。
腹が食い破られて、ピンク色の内臓がはみ出ている血溜まりの中の母の姿。
魔物に村が襲われた。なんてことない、この世界ではよくある話だ。本当は母にかけよっておいおい泣くのがセオリーなんだろうけど、その時の僕は何故だか口の中に涎が溢れて止まらなかった。
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村の朝は早い。ほとんどの人が農作業に出向くため、まだ日が昇りきらないうちから音が聞こえてくる。すると、自然と目がさめ、粗末な布団から体起こす。