魔物襲撃
前回の投稿から少しあいちゃったけどまぁ半年あけるよりかはいいかなw
今回はアネットがかっこいいはずですw
ではではお楽しみください。
クストフとランドネスが王都に旅たち3日がたった。憂羽は二人が旅立ってから村の手伝いをできる範囲で手伝っていた。洗濯や畑仕事、薪割りに門番の人達への差し入れまでしていた。体を動かしていないと落ち着かないと言った様子であった。そんな彼女の様子を心配して村人達は優しく声をかけたり村の子どもたちは一緒に遊んでくれたりと不安を少しでも和らげようとしてくれていた。そんな心優しい村人達を憂羽は大好きになっていった。
(みんな優しいな…父さん達の葬儀が終わったらここに住もうかな。あの世界に未練はないしそれに戻る方法があるんなら来る方法もあるはずだもん。)
憂羽がそう思っているとアネットが小走りでやって来た。その表情はどこか嬉しそうであった。
「ユウ!今ねクストフさんの使い魔が知らせてくれたんだけど帰る方法が見つかったかも知れないって!」
「本当!?」
アネットの知らせに驚きと嬉しさで大声を出して反応する憂羽、アネットは憂羽を少し落ち着かせて続きを話た。
「見つかったはいいらしんだけどそれが持ち出し厳禁の書物らしくって特別に持ち出しさせてもらえる様今王様と交渉中らしいのだから戻ってくるにはまだもう少しかかるみたい。」
その言葉に憂羽は少し落ち込んだが帰れるとわかっただけでもよかったと安堵した。
「ユウちゃん良かったね。」
「そっかぁもぉ帰っちまうのかぁ。さみいしいな。」
二人の話を聞いていた村人達が次々と憂羽に話しかけ喜びの言葉や名残惜しいというように話していた。憂羽は話をしながら村人の優しさに嬉し涙を流していた。その様子をアネットは優しいほほ笑みで見つめていると一人の男性が血相を変えて走ってきた。
「魔物の群れが近くまで来てる!みんな!防衛準備をしろ!」
「せっかくいい知らせが来てハッピーな雰囲気だったのに…空気の読めない魔物共だね。」
先程まで優しいほほ笑みをしていたアネットだったが、魔物襲来の一報を聞くと一瞬にして真剣な顔になった。そしてすぐに村人達に指示を出した。
「ガイル、ベン、フェイ戦闘準備だよ。獲物を持って防壁に向かって。パージュはクストフさんに使い魔を飛ばしてこのことを知らせて。戦闘に絶対はないから。おばちゃん達はユウを連れていつもの場所に避難してて。さぁ行くよ!」
「待ってアネット!アネットは一緒に来ないの?結界師なんでしょ?結界師は戦闘向きじゃないって前言ってたじゃない!」
憂羽の叫びに足を止めるアネット。憂羽の言う通りアネットはドワーフでありながら膨大な魔力を持ち防衛に長けた結界師であった。結界師は協力な結界を張ることが出来、村や町を守ったり商業キャラバンなどを盗賊や魔物に襲われた時に守る役目で基本戦闘には参加しない職業なのだがアネットは違った。
「私はね、戦う結界師の結闘師なんだ。」
アネットは結界師でありながら戦闘が行える結闘師という珍しい職業であった。膨大な魔力による結界術にプラスしてドワーフ族特有の腕力で戦う結界師なのだ。
「クストフさん程じゃないけどそれなりに強いんだよ。だからおばちゃん達と一緒に避難してて。ユウと村のみんなは私が守る。」
そう言うとアネットは名前を呼んだメンバーと共に防壁に向かって走って行った。
「さ、ユウちゃん戦闘はアネット達に任せて戦えない私達は村長の屋敷に避難するよ。あそこにはアネットちゃんの結界が張ってあるから安心だから。」
おばちゃん達に手を引かれ避難を始める憂羽。そんな彼女はどこかなんとも言えない不安が押し寄せていた。
(アネットの強さを知らないから不安なの?それとも戦闘が怖いから不安なの?違う…そんなんじゃない…もっと違うなにか押しつぶされそうな何かが…)
とてつもない不安に襲われながらも憂羽はおばちゃん達と共に村長の屋敷に急いで避難をした。
「ウェイル、群れの状況は?」
知らせを受けて防衛に移動したアネットは見張りをしている青年に状況を聞いた。
「いつもの襲撃よりは進行は遅いけど規模は倍以上かな…。かなり多い。これは長期戦になりそうだ。」
「了解。パージュ!使い魔はどのくらいでクストフさんの時につく?」
「最速で飛ばしてるからあと10分かな…」
「クストフさんのに会えたらリンクして現状を伝えて。しばらく使い魔は消さずにクストフさんと共に行動させて。魔導士と弓術士は群れが射程に入り次第一斉攻撃開始。私達、近距離専門はこぼれた奴らを叩く。僧侶達は支援と回復に集中。総員持ち場に着け!」
「「「了解。」」」
アネットの指示により次々と持ち場に着いていく。全員持ち場に着いたと同時に見張り役のウェイルが叫んだ。
「目標!目視できるまでに接近した!」
「総員武器を構え!」
全員が武器を構えて1分たったかたたないくらいに戦闘の火蓋が落とされた。魔導士達の攻撃が魔物の群れに降り注ぐ。高く煙が上がり魔物の悲鳴も聞こえるがその攻撃を避けて何匹か土煙から出てくる。
「第一部隊突撃!敵を殲滅!第二部隊は第一部隊のフォローを!」
「村に一匹たりとも入れるなよ!」
「突撃だぁぁぁ!!」
アネットの指示により剣士や戦士、格闘家などの近距離攻撃専門の職業で編成された部隊が群れへと突撃していく。その間にアネットは魔法の詠唱に入った。
「白く輝く聖なる光よ、我が声に応え弱きものを守る大いなる壁となれ…『聖なる壁』!!」
詠唱を唱え終わると同時に村全体を包むように白く輝く壁が現れドームのような形になった。結界を先に張ってしまうとアネット以外で入りができなくなってしまうので戦闘が始まってから結界を張ったのだ。
「あとの指揮は任せたよフェイ。もし私達が突破されたら…わかるね。」
「わかった。その時は任せて。」
アネットは結界を張り終わると魔導士部隊の隊長であるフェイにあとの指揮を任せると自分の身長の2倍はある程大きいハンマー軽々と担ぎ攻撃を逃れた魔物の討伐へと向かっていった。
(何でこんなに大量の魔物の群れが…何かがおかしい…。今はそんなこと考えてる場合じゃない。『一瞬の油断が命取り』ってクストフさんも言ってたじゃないか!)
アネットは普段ならありえない量の魔物に少し違和感を覚えながら魔物を倒していく。しかし、戦場では一瞬の油断が命取りとなるのですぐにその違和感を払い除け戦闘に集中するのであった。
戦闘開始から2時間が経過した。だがしかし、未だに戦闘が終わる気配は見られなかった。魔導士達の魔力と弓術士の矢が切れ始めたのか遠距離攻撃はどんどんと少なくなっていき、近距離攻撃専門部隊が応戦する魔物が多くなってきた。近距離攻撃専門部隊の面々も違和感を覚えてきた。
「な、なぁ…今回の襲撃は異様に魔物の数が多くねぇか?」
「多いってもんじゃないぜはぁ…はぁ…こりゃぁ異常だはぁ…はぁ…。」
終わりのない魔物の襲撃に近距離攻撃専門部隊に疲労の色が見えてきた。最初40人ほどいた部隊もまともに戦えているメンバーはアネットを含め半数にまで減っていた。
(このままじゃまずい…撤退しなきゃ…)
アネットが撤退命令を出そうとしたその時、魔物の群れが急に反転し村から離れて行った。突然の行動に驚きを隠せないアネット達。魔物がすべていなくなり魔物の死体山とアネット達だけになると防衛に当たった面々は一気に力を抜いてその場にへたりこんだ。
「お、終わったのか?」
「なんで急に引き返して行ったんだ?」
「分かんねぇけどよ…とりあえず…村は守れた…それでいいじゃねぇか…。な!アネット。」
「そ、そうだね…。村は守れたね。今回はやばかった…。」
アネット達は何故魔物が引き返したのかはわからなかったが当初の目的である村の防衛が成功したことに安堵し警戒を解いたその時、村の方から一人の青年が慌てて走ってきた。
「アネットさん!!すぐに結界を解いてください!!結界の中に村の中に魔族が侵入していました!村のあちこちから火が上がってます!」
「嘘でしょ!何で!!!」
アネットだけでなく防衛に当たった全員が驚いていた。驚きで呆然としているアネットにベンが大声で叫んだ。
「そんな事より早く結界を解かねぇと取り返しがつかなくなる!!!アネット結界を解け!」
「はっ!わ、わかった。『解除』!!」
アネットの解除呪文により結界が解けると同時に村のあちこちから煙が出ていた。その煙は村長の屋敷の位置からも上がっていた。
「ユウ…ユウ!!!」
「ヤベぇぞ!動けるものはすぐに村に戻れ!」
一斉に村へろ戻るアネット達。避難した人達は生きているのか?憂羽の命は……。アネットは疲労していたことも忘れて走るのであった。
今回はアネットがメインの視点で描きました。憂羽はどうなっちゃうんでしょうね?
え、作者だから知ってるでしょ?知ってるけどここじゃ答えなーい。はい、ふざけましたすみません。
じ、次回は避難した憂羽ちゃん視点です。楽しんでいただけたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします。