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プロローグ1
この男、釜宮陽佑は頃来の若者たちとは一線を画している。齢十九にしてその放浪癖甚だしく、大学には在籍しているものの、ほとんど通うことなくあらゆる土地へと彷徨している。何故このような奇行に走ることとなったか、それは彼が一年程前に見た夢に起因する。青年の運命はこれを期に大きく変わり始めることとなる。
黄昏の丘に佇むのは幼い風貌の少女。そうでありながら彼女から醸し出される雰囲気はどこか妖しく、蠱惑的で。だから釜宮青年はその少女に誰何する。
「君は、誰なんだい?」
その問いに少女は幻怪な笑みを浮かべながら
「私の名は紅葉です。ふふふっ。やっと、逢えましたね」
「やっと会えたって...俺たちは今初めて会ったばかりで」
紅葉と名乗った少女は依然としてその笑みを絶やさぬまま
「また、何処かで...」
その小さな呟きと共に釜宮青年の意識は闇の底へと落ちていった。