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廊下を歩いている時、階段を下りる時、トイレに行く時、移動教室の時。
今になってようやく俺が行く場所は不思議と人が少ないことに気が付いた。
トイレなんて決して個室の数が多いわけではないのに混雑しているのを見たことがない。移動教室で図工室や家庭科室へ行っても俺は好きな席に座れるし、道具が足りなくなって順番待ちをすることもない。
これは幼稚園の時と同じやつだ。ボスが来たから退かなきゃ!のアレだ。
よく観察してみると俺に道や場所を譲る子は他クラスの大人しい子や地味な感じの子が多い。目が合えば蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。
ここに関しては幼稚園の時と違って若干の怯えも含まれているようだ。
別にキツイことを言ったとかいじめをした覚えはない。そもそも関わりもない他クラスの子達にこんな反応をされるってことは、人となりではなく見た目で判断されているとしか考えられない。
つまり俺が女王様扱いされているのは、頭から爪先まで隙のない外見のせいでもあるようだ。
容姿磨きは悪い事じゃないと思うんだけど、意識して整え始めたから昔以上に近寄りがたくなったのかな。
でも元々俺が仲良くしている子達は普段から容姿を気にする子が多いので手を抜くと中学から、いや既に始まりつつあるオシャレ抗争についていけなくなってしまう。
可愛い子の友達は不思議と可愛い子しかいないんだよな。ていうか俺自身楽しいから容姿磨きをやめるつもりはないし。
というわけで俺は学年の女王様になった。そもそもこの容姿と家柄でカースト上位に来ない方がおかしいよな。
期末テストが近づくと中間テストの時と同様に誠と勉強会をした。
誠は今回も1位狙いで、俺は打倒山吹君……の前にせめて3位に戻れるよう頑張ることにした。高望みはよくない。
にしても誠と言い山吹君と言い、美形のくせに勉強もできるとかどうなの?俺が言うのも何だけど設定盛り過ぎじゃない?
それともなんだ、勉強もできることが攻略キャラになることの第一条件なのか。
むむ、ともう一度よく攻略キャラと思われる子達について考えてみることにした。
まず山吹君。
銀髪で眼鏡が特徴の児童会メンバーで勉強面では学年1位の優等生。運動は特別できるわけではないが、苦手でもない。
女の子みたいな柔和な面立ちで、基本的には誰にでも優しいためか学年内では屈指の女子人気を誇る子だ。
その中身は真田君の嘘にコロッと騙されたり、自分を取り合う女子達を放置してぽけーっとしているような天然マイペース野郎である。
落ち着いているというか、あまり明るく騒ぐタイプではないので『人気者』ではない。
続いて誠。
青みがかった黒髪に琥珀色の瞳に泣き黒子持ちで、俺から見れば学校一ではと思えるほど整った容姿をしている。その外見からうちの学年でも名前が知られている有名人だ。
同学年ではないので詳しくは分からないが、他にキャラ候補がいないため4年生では一番人気だと思う。
自信ないとか言いつつ学年1位になっちゃう頭脳に、リレーメンバーに選ばれるくらいには足も速い。
人見知りで大人に囲まれると震える。知らない子供に会うともじもじする。
俺の前では甘えているもののよく喋るが、クラスの子の前ではどうなんだろう。少なくとも友達はいるみたいなので、それなりに他人とも上手くやれるタイプだろう。
見た目的にも能力的にも正統派キャラの匂いがする。
そして久藤少年。
赤毛に淡い褐色の目をした一匹狼。友達はいるので孤立しているわけではなく、ある程度協調性も持ち合わせているが、ふざけた理由で学校を休むサボり魔である。
目つきが悪く、誰に対しても乱暴な物言いをするので一部の子は彼のことをちょっと怖がっている。
顔は良いので彼に好意を持つ子もいるが、愛想がないため山吹君や誠に比べると少ないと思う。
クラブには所属していないが、運動がすごく出来るのでスポーツ勝負になるとヒーローだ。あと無駄に器用。
勉強面は……どうなのかな?サボりが多すぎて判断材料がない。
でも物凄く出来るって感じではないと思う。ていうかこれで俺より勉強が出来たらむかつくので出来ない方が良い。個人的にはバカ希望。
あとは絢斗君だが、彼とはまだ会話もしたことがないので省略。
予想では運動大好きな生意気後輩系かな?黒髪短髪猫目だし。
でもお坊ちゃん教育を受けているので意外と礼儀正しいかもしれない。
それから攻略キャラかどうか微妙なのが竜胆。
年上枠として考えるとなくはないが、どうやって女子高生に関わってくるのか想像できないので一先ず置いておこう。まさか俺が紹介するわけないだろうし。
竜胆を除くと現時点で攻略キャラ候補は4人か。
中々の物件が揃っているが、この中ならおススメは山吹君か誠かな。
絢斗君はどういう子かわからないので何とも言えないが、久藤少年は高等部になる頃には今以上に素行不良になっていそうだし、見知らぬ子に「うるせーブス」とか普通に言いそうでなんか怖い。
女王様である俺に対しても雑に扱ったり普通に殴ってくる子なので彼のルートだとヒロインは苦労しそうだ。
なんて失礼なことを考えながら挑んだ期末テスト。
結果は4位だった。
3位奪還ならず。いつも通り両親に「流石百合香さん、天才ですなー」と褒められながら深いため息をついた。
ヒロインの榛名なんとかちゃんはどんな子なのかな。




