1/7
プロローグ
此処は、無数の世界と時にまたがりそれら全ての始まりの場所
また住まう者の気まぐれで連なる世界を、そこに数多にある時を終わらせることも出来る場所
此処に名前はない
此処で過ごすは、いずれもヒトの姿を模した仮姿と本来の真姿を持っている者たち
生きとし生けるものは、自身を作って生き物としている中心の奥深くで彼らの存在を感じている
ある程度の知を持つ生き物は、いずれもその名を呼ぶには力が弱くやんごとなき力を持つ彼らを『神』と呼ぶ
此処で仮初のヒトの姿しか持たないのは、元はただ人であったオルガのみ
此処ではなんの力もなくただただ庇護されるだけのか弱き者
戯れにからかわれることがあったとしても脆すぎるため虐める者はいない。悪戯が過ぎれば仕置きはされるが、例え相手に不足のない敬意を払えなくとも不敬とも思われず、か弱く無知な者は仕方がないとただただ苦笑されるばかり
それだけ取るに足らない儚い存在
どうしてそんな羽虫のような彼女は此処にいるのか
やんごとなき彼らは、知ってはいるが決して口に出さない
それが彼女への罰だから