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ダンジョン解放ー364日目ー

本が開かれた


「やあ、こんにちは。一年ぶりといった所かな。まあ正確にはあと一日で一年ぶりになるんだろうがね。」


少女が現れた。この一年この部屋を訪れるものは一人も居なかった、良い意味でも悪い意味でも。


その姿は一年前と全く変わる事はない。黒目黒髪、眉のラインで整えられた前髪、束ねられたおさげ、整った顔立ち、蕩けるような黒を基調とした、沈むような赤を差し色にした、いかにも、、といった長い杖を持っている、あれではドアを通るのも一苦労だろうに。少し寂しい胸元にこれまた寂しげに青い、トルマリンだろうか、ネックレスがほんの少しチープだ。


「ようこそ、我が城へ。コーヒーと紅茶ではどちらが好みかな。邪神様?」


部屋の主は、なんでも無いと言った様子で言葉を返す。


「ふんっ。結構だよ、少し、そうほんの少し退屈しのぎに来ただけ。そして、ずっと引きこもったままの私の部下のケツをけりにね」


まるでその言葉が聞こえないかのように。男は立ち上がり、ボタンを押す。間も置かずに湯が出来るだろう。


「邪神様にはココアの方がお好みだろうか、それともホットミルクかい」


少女はいらだった様子で言葉を紡ぐ


「必要ないと言ったんだ。そんな事よりもだ、君はこの一年よくやったと私は思うよ。なんせこのダンジョンに現れてたったの数時間足らずで全ての魂を使い切り、あまつさえダンジョンを作らず、モンスターも作らず、ダンジョンを解放する。、、、、ただの馬鹿だと思ったよ。しかし、一年が経ち君は生きている!」


少女は苛立を隠せない、この部屋に来てからだけではない。この一年苛立は積もっていたのだ。


男が初めて少女の目を見る


「そんな事だって言ったかい?おいおい僕はお客様を持て成すホストだよ?お客様の為に最善を尽くして持て成すのは当然じゃないかい!?


たとえそれが連絡も無しに訪れるような招かれざる邪神様であってもだ!


座りたまえ、、そのローブはそちらに掛けると良い、、、


ああ、残念ながらお茶請けは期待しないでくれ。私は甘い物があまり得意ではないからね。」


男は語気を強めて坦々と指示を出す。少女からすれば、目の前のモノなど些細な事であったはずであった。命を握っているのだ、実力行使であっても瞬きする間もいらないはずだ、なのに


少女は言われた通りに、ローブを掛け、座る。


男が用意するその様子をじっと見る。


ことり、と少女の前に湯気の上がるカップが一つ。男の物は真っ黒に濁り、少女の物は真っ白に濁っていた。


「、、、蜂蜜を入れてある。飲みやすいはずだよ。」


「、、、、、、、子供じゃない」


「熱いから、気を付けて。」


何も無い時間が空間を支配する。時計の音が、付けっぱなしのゲーム画面の音が、目の前の男の気遣うような微笑みも、何もかもが、、、、、、。うるさい


男のカップから数口分が、少女のカップからもう少しでそこが見える程飲み物が消えた頃。


「分からないの、全く。分からないの!」


少女は立ち上がり、両手で大きく机を鳴らす。


「そうか」


「むかつく!帰る!」


少女はぐいっとカップの残りを、どろっと溶けきってない蜂蜜ばかりの飲み物を、飲み込む。


「ごちそうさま!」


そういうと、あっさりと転移して消える。


男は一口、飲み物を口に運ぶと少女のカップを洗う。なんでもないとでも言うように。



一夜を待たずして、この世界に多くのダンジョンが生まれるだろう。


人々は同じようにこの日を呪った


地獄の蓋が開いた日だと

早くもミルちゃん復活!


かわいいおんにゃのこが書きたいんだハナクソホジー

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