表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

募る不安

少々投稿の間があき気味ですが、これからも続けていくのでよろしくお願いします。

<奈緒美>

「奈緒美。 おい、朝だぞ。」

「う、うぅ。 もう?」

「あぁ。もう、7時過ぎだ。 どうだ? 起きれそうか?」


そう言いながら怜は、私の額に手を当ててきた。冷たい手で、頭がスッと冷やされて気

持ち良い。

「やっぱり・・・、まだ熱があるな。 しかも、昨日より少し上がってるんじゃないか?」

「え、熱? そういえば少し、体だるいかも。  それになんか、息苦しいし・・・。」

ま、熱出すなんていつもの事だし、もう慣れちゃった感じもするけど。


「まじかよ。 

どうする?今日は病院行くの、やめとくか? さすがに外に出るのは、きついだろ。

でも俺、今学校も忙しいし、今度いつ休み取れるか分かんねぇんだよな・・・。

それとも、先生、家に呼ぶか? 井上先生なら、来てくれると思うし。」

「え?」

怜ったら、何寝ぼけたこと言ってんのよ! そんなことしたら、余計お金かかるじゃない。  ほんとに!

そういう事に関しては、ほんと(うと)いんだから!

「良いよ、そこまでしなくても。私、平気だし。

ちょっとぐらいなら、外に出ても大丈夫そうだから。」

「本当か? 無理しなくて良いんだぞ?」

もう! 平気だってば!

「うん。大丈夫。」

「・・・分かった。じゃあ俺、タクシー呼んでくるから、これ羽織って待ってろ。」

そう言って、上着を渡してくる。

「ありがと。」



(バタバタッ・・・、 バタバタバタッ、ガチャ)

「どうだ? もう、出られそうか?」

「うん。  ・・・よいっ・・・、しょっと。」

(フラッ) 「あぁっ」

いきなり立ったせいで、足元がふらつく

「おい!」 (バッ)

「何やってんだよ! 立たなくて良いって。俺が連れてくから。」

「ごめん。」

あ~あ、かっこわる(ーー;)

「ほら、行くぞ。 よっと!  ・・・って、お前・・・。」

「ん? なに?」

「あ、いや。なんでもない。」

「・・・そう。」


結局怜は、私を抱きかかえたまま、タクシーまで運んでくれた。

なんか自分でたんか切ったくせに、情けないな。

すると怜は、私をタクシーに乗せた後、

「悪い奈緒美。俺、車いす持ってくるから、ちょっと待っててくれ。」

と言って、さっさともどって行こうとする。

「えっ、ちょ、ちょっと待って! 車いすは、やだよ。」

ぜっったい、やだ!

「はぁ?何、言ってんだよお前。車いす無ぇと、困るだろ?」

「だって・・・、誰か知ってる人に見られたりしたら・・・、やだもん。」

「何今更、んなこと言ってんだよ。どっちにしろ、無いと困るんだから。

それとも何か? 俺がず~っとお前のことお姫様抱っこして、移動しても良いのか? 

ま、お前がそれでも良いって言うんだったら、俺はかまわないけど?」

「う。 それは、さすがにやだけど・・・。」

「だろ? なら、これくらい我慢しろ。

 じゃ、持ってくるからな?」

「・・・うん。」

じゃっかん納得のいかない気持ちを残しながら車で待っていると、トランクが開いて、すぐに閉まる音がした。

車いす、入れ終わったのかな?なんて考える暇も無く、怜が慌てて車に入ってくる。

車の扉が開くたびに、外の冷気が中に入ってきて、身体が冷えるのを感じた。


「悪い、待たせた! 座ってるの、結構きつかっただろ?ごめんな。」

「ううん。平気だよ、このぐらい。」

本当は、結構きつかったんだけど・・・。

「ほら。俺の膝、枕にして良いから、横になれ。」

怜って、よく恥ずかしげも無くそうゆうこといえるな~。

と、思いながらも…、まあ結局、膝借りちゃったりするんだけど…。

「あ、じゃあ・・・。」

そうして自力で横になろうとしたけど、ちょっと傾いた瞬間、身体を支える力が無くて倒れそうになってしまう。でも、怜に頭突きをくらわす前に、優しい手が何も言わずにちゃんと支えてくれる。

(ポソッと・・・)「ありがと。」

「じゃ、香川病院までお願いします。」

怜が運転手に言うと、車が発進した。


「これだけじゃ、寒いか?」

私にはすでに毛布を掛けてくれていたのに、怜は、自分の上着まで脱ごうとしながら言った。

「い、良いよ別に。タクシーの中、暖かいし。

 それに、それ脱いだら怜が寒いでしょ?」

「俺は、全然平気だよ。遠慮すんなって。 ほら。」

結局、上着を掛けてくれた。

もう、大丈夫だって言ってるのに。

「ありがと。」

「お、おう。」

私が珍しく、素直にお礼を言ったもんだから、怜ったら顔真っ赤。

ちょっとお礼言ったぐらいで、どんだけ反応してんのよ。こっちが、恥ずかしいわ。






<怜>

「なんですって!?

 このお身体で、外出されたんですか?しかも、お一人で?」


いつもは優しいはずの井上先生の顔が豹変した。

ほらやっぱり、予想通りの反応が・・・。

「な? だから言っただろ?」

ベッドで、横になって休んでいる奈緒美は、見るからに不満そうだ。

「う、でも、ちゃんと厚着していったし・・・、」

「そういう問題ではありません!

 あなたはいつもいつも、ご自分の身体のことなのに、自覚が足りなさすぎるんです!

 今の状態で倒れたりしたら、そのまま意識がもどらないという可能性だって充分考えられるんですよ?  どのようになってもおかしくないお身体なんですからね?」

こういう先生の話を聞いていると、正直つらい。

それに、さっきも奈緒美を抱き上げたとき、嫌なことに気付いてしまった。

あんなに体重減ってたなんて…、なんで今まで気づかなかったんだ?

言ったら気にするから、絶対言わねぇけど。  あんま顔にも出さないようにしねぇと…。

「もう、先生ってば。 ちょっと言いすぎだよ~。」

「何が言いすぎなものですか。

 いいですね?これからは、きちんと気を付けてくださいよ。」

「・・・は~い。」

あ、そういえば、

「それで、先生。さっきの検査の結果、どうだったんですか?」

「あぁ、そうでしたね。 ん~、あまり良いとは言えませんが、今のところはとりあえず落ち着いているようですね。心配はないと思います。」

ふぅ~、まあ何とかこれで、ひとまずは安心かな。

「そうですか。 良かった。」

「ですが、やはり前に来られた時より、体力などはかなり落ちているようですね。」

やっぱり・・・。

「何かあってからでは、いけませんし、これからは月に一回は必ず診察に来るようにしてください。

 どうしても来られないときは、電話をくだされば私がお伺いしますので。」

そんなに・・悪いのか?

「えぇ~、月一で来なきゃいけないの~? もぉ~。」

俺の心配をよそに、奈緒美はいつも通りいじけている。 

自分の身体のことだろうが!

「お前のこと考えての事なんだから、我慢しろよ。」

「でも嫌なものは嫌なんだもん。」

はぁ、 ほんとにこいつは。 人の気も知らねぇで!

「仕方ないだろ。先生がそう言ってるんだから!

 そんなに病院来たくないんだったら、なんでこんな無理したんだよ!

 もっとちゃんと考えてから行動しろよな!」

奈緒美の態度に、つい感情的になってしまう。

「ちょっと城ノ内さん、それは少し言い過ぎじゃあ…。」

「う…、 っごめんなさい。」

「あ、いや…」

くそっ、言い過ぎちまった。 なんで俺、奈緒美にあたってるんだよ。

悪いのは、ちゃんと奈緒美のこと見てなかった俺だろ?

奈緒美はただ、俺のためを思ってしてくれただけなのに…。

「ごめん。 ついかっとなって。

 お前が悪いんじゃ、ねぇのに…。」

「ううん、いいの。 ごめんなさい。」

「ああ。」

「・・・。」

「さあさあっ。仲直りが済んだんでしたら、早くお帰りください。」

「は~い! じゃあ、帰ろっか?」

「あぁ、そうだな。」

っとに奈緒美は、立ち直り早ぇんだから(^⊶^)。

「それじゃあ先生、そろそろ帰ります。」

「ええ。また何か気になることがありましたら、すぐにいらしてくださいね。」

「はい。ありがとうございました。 これからも奈緒美のこと、よろしくお願いします。」

「こちらこそ。 お大事に。」


次回もお楽しみに♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ