オムライス
内容的に、やっと本筋に触れてきだしたところでしょうか。
<怜>
(ガチャッ)
「ただいまっ! 奈緒美~?」
「おかえり~。 おつかれ、怜。」
「え?!な、奈緒美?!」 やっぱり…。
「お前、何やってんだよ! ちゃんと寝てねぇと、だめだろうが!」
「何って…、あんたのご飯作ってあげてんでしょ!?」
「は!?良いんだよ、そんなの作らなくたって! 俺は大丈夫なんだから。」
つかこいつ、どうやって料理なんか作ったんだ? 買い置きは、してなかったはず…。
「おい!それよりお前、もしかして買い物に行ったのか?」
「そ、それがどうしたのよ。」
痛いところをつかれたのか、奈緒美はいきなり口ごもった。
「行ったのか!? そんな身体で!?
もし、途中で倒れでもしてたらどうする気だったんだよ!」
「…別に、今日は体調が良かったのよ。
それに何が大丈夫よ!こんなの見せられて言われたって、ぜんぜん説得力無いのよ!」
そう言って奈緒美はゴミ箱のふたを開けて、中を見せてくる。
「あ!…そ、それは…」
しまった! 奈緒美は下りてこないからと思って、ゴミ外に出すの忘れてた!
これを見せながら言われると、何も言い返せない。
「こんなのばっか食べてると、あんたいつかぶっ倒れるわよ!
どうするの、身体壊したら!」
(ボソッと・・・)「いや…、病人に言われても…。」
「ん!? 何か言った?」
うわ!目力が… こえ~。
「いえ。なんでもありません。」
「分かれば、よろしい。
ほら、できたわよ。お皿についどくから、その間に、速く手洗ってきて。」
「は~い。」
仕方ない。今日は言うこと聞いとくか。
<奈緒美>
あ~あ。また、言いすぎちゃったな。ただ怜に、喜んで欲しいだけなのに…。
いやいや、でも怜が悪いんだもん。人がせっかく作ってあげてるっていうのに、ごちゃごちゃ言い出すから…。だけどそれも、私を心配してくれてのことなんだよね。
「手、洗ってきたぞ~。」
「はいはい。 ほら、ど~ぞ。」(ドンッ)
「うっわ、うまそ~なオムライス!」
「『うまそう』じゃなくて『おいしい』の!」
ああ~!また、可愛くないことをっ!
「ほいほい、分かってるよ。
では、いっただっきま~す!」(パクッ)
ドキドキッ ドキドキッ
「ど、どう?」
「うっめ~~!!すっげーうめ~よ、これ!
奈緒美のオムライス久々に食ったけど、やっぱお前ってすごいな! 天才だわ!」
「あ、当たり前でしょ。私が作ったんだから。」
「ハハッ、だよな~。
俺、お前の作る料理ん中で、オムライスが一番好きだわ!」
「知ってるわよ。そんなの。」
だから作ったんだから…。
「ふぅ、 ごちそうさま~!」
「えっ!? もう全部、食べちゃったの?」
いくらなんでも早すぎない? 一合ちょっと使ってたのに…
「おう!うまかったぜ! サンキューな!」
怜が、あまりにも嬉しそうな顔をするもんだから、あやうく口元が緩みそうになった。
「べ、別にいいわよ。お礼なんて。私が勝手に作っただけなんだから。
じゃあ私、洗い物してくるから。」
「あっいや、それは俺がするよ。お前、疲れただろ? もう、寝てろ。」
「大丈夫よ。私がやるから、怜はテレビでも見てて。」
どうせなら、ちゃんと最後までやりたいし。
「だけど…。」
「いいから!」
「あ、あぁ。」
(カチャカチャッ カチャカチャッ)
あ~、ほんと良かった~。あんなに喜んでくれて。 また作ろっと♪
それにあいつ、私が作らなきゃ、ずっとコンビニ弁当だろうし(笑)
…って、あれ? ( ふらっ )
(カシャーン!)
これからもがんばります。
ではまた次話で!