世界の理
とあるところに、ひとつの世界があった。
地球と同じように生まれ、育ち、人間も存在した。
違うのは、人間以外の多種溢れる“人外”もいた。そして魔法が存在し、代わりに化学は存在はするが世界にとっての大きなファクターを占めるものではなかった。
そんなだから、いわゆる“神のご助力”の治癒魔法も存在した。だから神を信じるべき、という風潮ではある。
そんな世界に、ひとりの少女が産まれた。
少女は兄に強く産まれてくることを願われて産まれてきた。
産まれた少女は、世界を壊しかねないほどの魔力を持って産まれてきた。人間の間に生まれし“人外”として。
少女は、兄以外の者に迫害されて生きた。兄が亡くなれば耐える必要もないかと思って流浪をしたが、その先で真っ新な瞳で少女に笑いかける女性と出会った。
女性と流浪するうち、少女はこう願うことになる―――この世界を見守りたい、と。
世界は少女の望みを叶え、少女を眠らせた。
少女の視点は最初は女性の魂からでしかなかったが、そのうちに世界を包む大気のように広くなっていった。
これは、そんな少女が見守る物語のひとつである。