表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ライン  作者: ポー
1/1

日常から?

それは11月の寒い日。例年よりも強い寒気が街を覆っていた。

道路沿いに植えられている街路樹では葉が落ち始め、本格的な寒さに備えているようだ。

駅やその近くの店では気が早いのか既にイルミネーションを飾っている。イルミネーションをきれいだね、と見ている親子もやはり厚手のコートに身を包み、本格的な冬を思わせる。

強い風が吹き抜ける。

「、、、寒い」

俺、加賀赤理(かがあかり)もまたコートに手袋、マフラーといったかなりの重装備で街を歩いていた。俺は近所にある大学に通う大学生だ。半年ほど前に20回目の誕生日をむかえている。今はいつもどうり大学から家に帰るところだ。

手にはコンビニのレジ袋。中身は寒さを紛らわそうと購入した肉まんと缶コーヒーが入っている。

今は18時を過ぎたあたりだろうか。この時期では、もうあたりは真っ暗だ。空には星が、道路には街灯が灯っている。

カシュッ

缶コーヒーを開けて口に含む。うん、温かい。コーヒーの熱とカカオの風味が広がり憂鬱な寒さを紛らわしてくれた。

「~~♪」

しばらくの間、機嫌よく歩いていた。この時間帯ではすれ違う人もほとんどいない。

コーヒーも残り半分となった頃だろうか。

近所で見かける猫が歩いていた。エサをやると嬉しそうに近づいてくるやつだ。

「おお、久しぶりだな」

肉まんでも分けてやろうと思いレジ袋に手を入れて近づいた。

そんな時だった。

「!?」

突然、青色の円のような光が地面に現れた。

光はまるで生き物のように動き、その形を複雑なものにしてゆく。内側に様々な模様が凄まじい速さで描かれている。

俺は訳も分からず、立ち尽くした。

なんだ!?何が起きていいる?

青い光と円?いやそもそもこれはなんだ?

2、3秒ほど過ぎたころだろうか。光が動きを止め、地面には直径3メートルほどの図形が描かれた。

「これは、魔法陣、、、?」

これは漫画やゲームの魔法使いがよく使用するあれだ。あの魔法陣が俺の目のにある。

あたりにほかに光源はなく、その場所だけが怪しく光っている。

魔法陣はしばらくの間一定の明るさを保っていたが、光がまるで熱い鉄が冷める時のように明るさを失ってゆく。

青い光は黒い線に変わり、魔法陣は輝きを持っていない。

何事もなかったかのように、冬の寒い日が戻ってきた。

だが、目の前には輝きを失った魔法陣がある。

静寂。遠くから、街の喧騒が聴こえてくる。俺は相変わらずその場に立ち尽くしたままだ。

「こういうのは、大抵次に」

そう呟いた次の瞬間、魔法陣が一気に輝きを取り戻し、2メートルほどの手のようなものが現れた。

人の手の形を直方体で作ったような見た目をしている。色は黒。

手はあたりの様子をうかがうように左右にゆらゆらと動き、俺のほうを見て動きを止めた。

「なんだ、これ」

蛇に睨まれた蛙ってのはこんな気分なのかね。最悪だ。

こんなことを考えられるなんて、割と冷静だなと思った。

手は上から見下ろすようにこちらを見ている。その大きさは2メートルほどもあるのだ。

俺も目を離せない。怖い。

どれくらい時間が経っただろうか。実際は数秒なのだろうが、ひどく長く感じた。

もう、この手は動かないのではないかという考えが浮かび始めたころ。


「にゃー」

猫が鳴いた。

俺は猫のほうを見た。それを合図にか手がものすごい速さで俺のほうに向かってきた。

急いで視線を元に戻したが、遅かった。既に手は俺の体に絡みつき、身動きができない。

「うわあ!」

必死にもがいたが、やはり振りほどけない。

魔法陣へと引きずり込まれる。

そうして俺は


魔法陣へ落ちた。


その後、魔法陣は役目を終えたのか、スーと消え始め数秒で姿を消した。街は何一つ変わらない。元どうりだ。

人どうりがほとんどない路地、日も暮れかけた時間帯。この騒動を見たものはいないだろう。

道路には赤理の飲んでいたコーヒーがぶちまけられ黒い水たまりができている。

コーヒーはまだ温かいが一分と経たないうちに冷めてしまうだろう。

そこが、赤理のいた最後の場所だった。


「みゃー」

猫が寂しそうに鳴いた。


挿絵(By みてみん)

どうも、こんにちは。ポーと申します。

今までさまざまな小説を読んできて、自分でも物語を書いてみたいと思い執筆してみました。

まだまだ至らない点も多いと思います。

が、精一杯書きますのでどうかよろしくお願いいします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ