真夜中の招かざる何者か
目に見えないという事は恐ろしいものです。分からないという事は不安なものです。
解決策を探しましょう。
新年早々怖い思いをした話
さて
先日の怖い思いをした話ですが、
6日だったかな、息子と娘は部屋に行ってしまい、私はひとり、居間で怖さのカケラもないホラー映画の鑑賞を続けていました。
午前0時45分 ピンポーン
こんな時間に何だろうと、インターホンには出ず、そっと玄関ドアまで。
チャイム音は2種類あって、オートロックのエントランスホールからならピロピロピロ、みたいに鳴ってモニターにその姿が映る。
でもこれは部屋玄関のチャイムの音。
カメラはない。モニターは真っ暗のまま。
覗き穴からじっと見る。
誰もいない。
嫌だなぁと思いながら、いつもは放置のキーチェーンをかける。
数分後、再びピンポーン
えっ、と思いこちらも再びネコ足で覗きに行く。
やはり誰もいない。
部屋は一番奥で、チャイムのすぐ横には階段室があり1件だけ離れ小島のように孤立している。
階段室には扉がないので、ピンポンダッシュには最適の作りだ。
静かに静かにサムターンを捻り、チェーンのまま少しだけ開けてみようとしたが、やめた。もう一度覗いてみる。
狭い視界だがあちこち見回す。何も見えない。必死に覗いてるその最中に、
ピンポーン
うっ…..…
何だか頭にきた。もぅ1時を過ぎている。
急いで居間に戻り、インターホンを手に取り真っ暗なモニターに向かって、
「 誰っ!!」
怒鳴る。
もちろん応答などない。異変を感じて娘が部屋から出てきた。やはり同じような行動を取る。
また鳴った。そしてまた鳴った。
私は、半ばハイテンションとなり息子の部屋に駆け込んだ。
飛び込んでくる母親に、息子は何事かと、目を丸くして起き上がった。
「木刀 木刀!」
息子の部屋から木刀を持ち出すと
突く準備をしてチャイムが鳴るのを待った。
事態を察した息子がオイオイと言いながら、私から木刀を取り上げ、自らが持つ。
いろいろ考えた。暴漢は、オバサンが相手なら油断するだろう、だがいくら草食系でも男の子じゃぁ本気出してくる、開けた途端に危険物をかけられたら、大きな鋏でチェーンを切られて押し入られたら、人間じゃなかったら、、、。
だが映画じゃあるまいし、悪霊は考えにくいし、そこまでされるほど金持ちでもなければ、恨まれる覚えも家族揃ってない。
ピンポーン 鳴った、我慢できずチェーンのままの小さな開きだが思いっきり開けた!
無人の廊下の灯りが虚しく辺りを照らす。
不可解だがサムターンを戻し、3人で居間に戻る。
午前1時半を回っている。
管理会社に連絡するか、110 番するか、もぅ放っておいて寝てしまうかと話していたら、
ピンポーン また鳴った、ピンポーン また鳴った ピンポーン 5回、6回、7 回…
続けざまに鳴る。
3人は真っ暗なモニターのインターホンを凝視した。
暫く無言で固まる。
思わず私の口から出た言葉
「ホラーみたい」
今見ているホラー映画の何十倍も恐ろしい。なのに笑ってしまった。
このピンポンダッシュのくどさは故障でしかありえない。
と、3人は同時に思った。
そして、音を最小にして無視する事にした。まだちょっとだけ、外に出るには抵抗があったから。
2時の声を聞く頃、息子が廊下に出てチャイムの《押》部分をちょっと引っ張ってみたようだ。
少しだけズレていたみたいだ。
そういえば夕飯が間に合わず、夜中や朝まで配達する店が何軒かあるので、ずいぶん遅い時間に出前を取った。
出前のおっちゃんが妙に強く押したのだろうか、
しかし3 時間も4時間も経ってから接触が悪くなるなんて、 新手の時間差ピンポンダッシュだ。
それから、音は止まった。
過ぎてみると何のこっちゃない出来事だが、はじめは本当に驚いた。
原因が分かれば怖くない。正体が知れれば何でもない。というお話しでした。
ありがとうございました。