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第05話「ホウカゴ」




「おはよう、榊原くん」

 話しかける奴など殆ど居ないはずの教室で、いつもどおりチャイム間際に入ってきた俺に話しかけてくる人物が一人。達也がわざわざ声を変えるなどの手の込んだ悪戯でもしない限りは、話しかけてきたのは紅葉だろう。

 なので俺は教室のドアの近くにある自分の席に突っ伏しながらどうでもよさそうな返事をすることに決める。

「どうかしたのかー」

 自分でも驚くぐらいのやる気のない返事だ。

「やる気のない返事ね。昨日の夜ちゃんと寝てないの?」

 誰のせいだと思っているんだ、誰のせいだと。

 明らかに「自分には関係ありません」とでも言いたいかのような回答に意見をしたかったが、そのために上げた顔だけで大体の意見は察したらしい。「まぁ、その話は後でするとして」と区切られてしまう。

 納得がいかないが、ここでその話を続けていても話が進まないだけだ。俺がそんなことを思っていると、そこでチャイムがなってしまう。

 いつもの様に気の抜けたようなチャイムだ。

「ん、もう時間か……。じゃあ悪いけど放課後、教室で少し待っててね」

 俺が何で? などと聞き返す暇もなく紅葉は自分の席に戻り、むさ苦しい担任が入ってくる。

 まぁ、あとで理由を聞けばいいだろう。そんなことを考えながら俺はとりあえず、今日の授業をどう乗り越えるかを考えていた……。



 時間は移り放課後。

 俺は殆どのの生徒が出ていった教室で一人、紅葉を待っていた。曰く、誰もいない教室で男女が二人っきり、変な噂でもたったら嫌だという。そんなことを言うのなら外でもいいような気がするのだが、これまた曰く女は男を待たせるもの、らしい。そんなルール日本は愚か、世界でも聞いたことが無いようなきがするのだがな……。などと考えながら待つこと10分、紅葉が教室へやってくる。

「今日、放課後にあなたを呼んだのは、教団の場所とかを紹介したいの」

 忘れていたが、俺が超能力者として覚醒したのはその『黒の教団』とやらに俺を入れるのが目的だったな……。特に深く考えずにほぼ了承してしまったが大丈夫なのか、と今更ながら少し後悔する。

 そんな俺の内心ブルーな心情など、無視しているのか気づいていないのか、俺の意見など聞きもせずに俺を連れて行く。

 うちの学園は寮制ではあるが外出についての制限は、結構甘いほうだ。基本的に外出は、勉学に支障さえでなければ止められることはない。

 なので俺と紅葉の二人で校門から外に出る。もう一度言うが二人でだ。決して一人で外に出るなど虚しいことはしていない。

 そんな誰に向けての言い訳か、よくわからないことを思いながら俺は無言で俺の少し前を歩く紅葉に、これまた無言でついて行く。

 


 校門から歩いて約25分、東側の入り組んだ道を抜けた森のそのまた奥。あんな入り組んだ場所を歩いたというのに、なぜか人通りの多い場所に出る。こんな人通りの多い場所に出るのならばあんな入り組んだ道でなく、普通の道を歩いてきたほうが近かったのではないか? と、ふと思ってしまうほど多くの人が行き交っている場所だ。

 そこには明らかに一箇所、おかしいと思ってしまう場所がある。確かに何か建築物を立てる前、という考え方もあるだろうがそれでもおかしいと感じる。誰も人がそこに注目しないのだ。

 こんなに人が多く、海のようにも見えるほどの多さだ。どんなに急いでたとしても、何割かの人間は気になるはずなのにまるでそこが、殆どの人には『他の場所と同じように建物が立っている』かのような反応をしているのだ。そんなことを考えている俺の表情から察したのだろうか。

「多くの人、大雑把に言えば能力を持たない人にはこの場所は、同じようなビルが立っているように見えるようになっているの」

 多分あなたには何もないように見えているのだろうけど。

 そんな事を付け加えながら、紅葉は微笑を浮かべる。

「一回でもこの中に入った『能力者』はここの本当の姿が見えるようになるの。さぁ、入って」

 そう言いながら紅葉は俺には見えない扉らしきものを開ける。周りの人が何も言わないのは能力か何かなのだろうか?

 そんな事を思いながら俺は無言で見えない扉の中に足を踏み入れる。

 ココから始まるのは俺だけの物語。小さい頃に憧れた英雄ヒーロー。そんな存在に俺もなれるかもしれない。そんな期待を胸に秘めながら俺の姿は、この見えない建物の中に吸い込まれていった……。




 こんにちは、あきようです。


 長いこと更新が遅れてすみませんでした。

 日々の生活なども安定し始めたので、テンポよく更新していきたいと思います。

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