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第04話「ショウサン」

 意気込みから数分後、ぶっちゃけた所俺はおもいっきり鎌蜘蛛に追い詰められかけていた。

 四方八方から繰り広げられる奴の斬撃の雨をギリギリで避けていられるような状態で、所々で鎌が頬や腕をかすめて少量の血が吹き出す。

 そんな状況で先程光に包まれた右手に握られる武器は”刀”から”銃”に変わっていた。刀で鉄を切ることの出来るような技術や筋力を持ち得ない自分にとっては、今思いつくものの中では一番ディスアドバンテージが少ないという思いからの選択だ。

 武器を使い慣れているわけでもなく、このような命がけの戦いに慣れているわけでもない俺にとって唯一の救いだったのは、相手が”人”からでなく”妖”だったということだ。

 多分、いきなり相手が”人”だったら俺は攻撃をすることさえも躊躇をしていただろう。

 ――たとえ相手がどれだけ俺を殺そうとしていたとしても。

 復帰した七瀬は自分に意識が行っていない時に攻撃をし、紅葉は自分に攻撃が届かない所から攻撃を当てている。攻撃が集中しているのが俺だけということもあり、うまい具合に他に攻撃が言っていないがこのまま状況が平行に進んだとしてもこっちがやられてしまうだろう。

 だからこそ俺たちは次の攻撃に賭け、そのための布石を打つ。

「創造、ガン

 俺は左手にも銃を創り出し、銃弾で壁を作るように弾幕を張る。この程度でなんとかなるものならばここまでの苦労をしていないだろうが、少なくともないよりかはある方がマシだろう。

 その弾に気を取られた鎌蜘蛛に対し、七瀬が一撃を加えるという至極単純な作戦だ。しかしその時の奴の反応は他の時とは違っていた。

 その攻撃に対してだけ明らかに怯みを見せたのだ。おそらく人間に対しては脅威になるであろう攻撃だが、何度か言っている通り、奴の装甲は堅い。ただの銃弾以下の攻撃が効くわけがない、と言うよりこれまで効いていなかったのだ。

 自分でも同じように見えた攻撃の”何か”が他の一撃と明らかに違ったのだ。

 体全身の神経の全てが集中し少し前の記憶を引き出そうとする。

 考えろ


  

 あの状況とその前で違ったところは?



 考えろ



 次の一手が命そのものに直結するんだ



 記憶内と現在、普段ではありえないほどのスローモーションで動く映像全てを見ながら俺は、ひとつの”推測”と状況を打開するための”答え”を叩き出す。

 さっきまでとは比べ物にならない高威力の一撃が右の拳銃から発砲する。それは奴の鎌の根元付近に直撃し奴は大きく体をのけぞらせる。

 そして俺の”推測”は回答へと変わる。

「七瀬、紅葉。奴の弱点は鎌の根本だ! そこに攻撃を集中させろ」

 命令形の言葉がしゃくにさわったのか紅葉は少し顔を歪めるが、命に関わることのためかすぐに奴の根本に向かって紙を飛ばせる。それに続き、七瀬も向かっていく。

 俺もそれに続いて向かったほうがいいのかもしれないが、確実にこの戦いを終わらせるために一人で違う場所に向かう。

 俺は普段使われていない非常階段を経由して俺は鎌蜘蛛より少し高い程度の所に駆け上がる。

 下では七瀬と紅葉の二人が鎌蜘蛛相手に奮闘している。だが、どちらも押されていてこのままでは力で押し切られてしまいそうな状況だ。

 高い場所は嫌いであり今も足が震えている。正直今、何で自分が何故ここに居ないといけないのかも解らないが……

「何もせずに死ぬよかマシだろ!」

 そう言いながら軽く助走をつけ空中へ飛び出る。

 そして鎌蜘蛛の意識がこちらへ向いてくる、それと同時に奴の弱点である根本に攻撃の標準を定める。

 答えの2つ目、それを出すために。

「波動……キャノン!」

 先程までとは比にならないその一激は鎌を貫き撃ちぬく。

 まだ動くと思った鎌蜘蛛は、鎌が地に落ちると同時に体が弾け闇に紛れ、そこに何かがいたということもわからなくなってしまった。

 その後には奴が壊していったもの、それしかこの戦いの痕跡は残っていなかった……。


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