第5話 返却と甘さと少年少女
話が長かったり短かったり……
すいません、本当にこれは作者の力不足のせいです。ゴメンナサイ(+_+)
昨日は思いっきり雨降ってたのに次の日にここまで晴れるとなるとなんだか釈然としない気分となる穂坂迅人なのだが、今日に限ってはそんな事を言ってる余裕はない。なぜなら
「首いてえ……」
首が痛いからだ。
原因は昨日布団を干したら雨が降ってきたという惨事が起きたからソファで寝るか廊下で寝るかという状況でソファで寝て、朝起きたら首が曲がるような形で落ちていたからだ。
そのことを親友でありツッコミである上城勇人に話したら
「ばかじゃねーの?」
と言われた。
バカって言うことないだろうとか思ったりなのだが、もうとりあえず首が痛いので何も言わない。元気がない時はなるべく何もしない。それが彼、穂坂迅人の考えである。
上城と二人で並んで教室に入るといたって普通の光景が広がっていた。
クラスメイトがそこらで輪を作り話していて、白河有希が穂坂迅人の机の真ん前に立っていて、野村と東野がぎゃあぎゃあと騒いでいて――
「あれ?」
今明らかにおかしいものが入っていた。だって昨日まで朝登校すると白河有希は別の女子グループと仲よく談笑していたはずなのだ。なのになんで一人で机の前に立ってるんだろう、しかも昨日一回話しただけの男の机の前に。
そんな彼の心情など露知らず。そわそわと挙動不審に佇んでいた白河だったが、穂坂が入ってくるのを見つけると、嬉しそうに駆け寄ってくる。
彼女が穂坂に走り寄ったことで、クラスの殺気のこもった視線(主に男子)が彼に集中したのだがそれはさておき。
「あ、あのッ、穂坂さん、風邪とか引いてないですか? 昨日、傘差さないで帰っちゃったから……」
ああ、そういえば。と今更思い出したみたいな顔をする穂坂。
「ああ、特に風邪とか引いてないし」
「そ、そうでしたかっ……」
心底安堵したような表情で溜め息をつく美少女。周りの女子や男子からは「穂坂のヤツ…白河さんに何したのかしら」「ちょっとあの野郎後で潰そうぜ」「賛成賛成」などなど暗い会話が行われていたのだが本人達は何一つ気付いちゃいない。この二人は鈍いのかもしれない。
「あ、そうだ。傘、お返ししますね」
「おう、さんきゅー」
ものすごく簡単に終わったやり取り。もうちょっと何かあってもいいと思う。この二人は鈍いのかもしれない。
それでは、と言っていつもいるグループの輪に戻っていく小さな背中を見送って、さていい加減席に着こうとか思って席の方を向くと
「穂坂、昨日一体何したの?嫌がる少女に強制セクハラ?」
「とりあえずいきなりものすごい誤解するのをやめてもらっていいか?セクハラしてなんであの反応なんだよお前らが思ってるようなことなんかしてねえよ」
「一息で言ったな」
好き勝手言い放題のじゃじゃ馬を一息で一蹴し、席に着く。
朝はちょっとした異常事態というかイレギュラーな出来事があったが、普通の一日を送れそうだ。
なんて、そんな事を考える自分は甘かったのかもしれない、と思うのに大して時間はかからなかった。