プロローグ
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思えば半端な人生だった。
母は僕が生まれた直後に死に、僕が10歳の時に父も交通事故で死んだ。
物思いに耽っているとそれをかき消すように警告音が邪魔をする。
『【警告】時空航行に異常発生。予定の157680000秒ほど遅れての到…』
カチッ。
「うるせえ…わかってんだこっちは。」
けたたましく鳴り響く警告音を切り、息を整える。
心音が高鳴り、脈打つ音が身体中に広がる。
「はあ…はあ…。」
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雨は嫌いだ。
親父が子供を庇って事故死した日から、付きかけの電球のスイッチが抜けたみたいだ。
全身を濡らす冷たい感情が、無慈悲に親父を排水溝に流していく。
即死だ。
顔が潰れていた。
救急車のサイレンをかき乱すほどの豪雨は、人の心を知れない。
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「くそっ、くそ!!」
安全装置も作動せず、調査対象の惑星〈ザンドラ〉へ突入する。
…本当は分かっていた。強い憎しみから得られるものなどない。
でも、けれども、本当に少しだけでも、自分を信じることが出来たのなら。
憎しみに生きず、他者と分かり合えたら。
「…ララ?」
…その想いを、ほんの少しでも感じられたら。
強い光に包まれ、意識が抜けていく。
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「だんちょー、見て!流れ星!」
潑剌としたボブヘアーの少女がひとり、団長と呼び慕う筋骨隆々の男に呼びかける。
「ああ?昼間っから流れるかよ。それよりそっちはどうだ?ミモ。」
「うーん、こっちにもなさそう。」
「やっぱハズレか。クソ!」
そんな二人の様子をトラックの中から目の端で一瞥するものが一人。
「おいナルム!お前ちゃんと依頼受けたんだよな!?」
ウィーン…と、通常の1/2ほどの速度でウィンドシールドが開き、一泊おいてから返事が返ってくる。
「…っ、なに〜?」
つけていたイヤホンを片耳だけ外し、いかにも太陽に吠えそうな偏光サングラスを取ってこちらを見る。
こいつ…自分だけトラックの冷房で涼んでやがるな…
ため息を吐き、作業に戻る。
この世界の海と陸の割合は半々で、綺麗に5:5と分かれている。
海はとても綺麗で、高台から見ればどんな生物が泳いでいるか一目でわかるほどである。
しかし問題は陸。陸なのである。驚くほど黄土色。日中は猛暑、夜中は極寒。
そう、つまり『砂漠』なのである。太古の昔からこの惑星は表面を砂で覆い、生物を生きにくくしているのだ。それも原因があるのだが…
ふと目をやるとミモ…ミモレットと名付けた橙色の頭髪の彼女が居なくなっていることに気づく。
見渡して少し離れたところで何かを見つめていた。
「おい、ミモ…作業開始10分で早々に職務放棄か?感心しないな。」
そんな俺の言葉には耳も貸さず、じっと何かを見つめている彼女に近づいていく。
「団長見てよ、お花。」
暑さで頭がおかしくなったのか?こんな砂漠に花が咲くわけ…
「マジかよ…」
目を疑った。キキョウの花は道を作るように、こちらに何か気づいて欲しいかのように我々を誘っていた。
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自己満で書いてます




