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ケンタと魔法のランプ

作者: 君の那覇

ケンタは30歳にして、いまだに夢の「大スター」への道が見えない売れない俳優だった。舞台の端役やCMのエキストラで糊口をしのぐ日々。ある日、古道具屋の片隅で埃をかぶった真鍮のランプを見つけた彼は、「まさかね」と笑いながら擦ってみた。すると、ド派手な紫色の煙とともに、派手なターバンを巻いたジーニーが現れた。


「3つの願いを叶えてやる!さあ、何だ?」


ジーニーの豪快な声に目を丸くしたケンタは、勢いよく叫んだ。


「俺を有名にしてください!誰でもいいから、みんなが俺の名前を知るようなスターに!」


ジーニーはニヤリと笑い、「お安いご用だ」と指を鳴らした。


次の瞬間、ケンタは見知らぬ場所に立っていた。目の前に鏡があった。彼が覗き込むと、そこにはケンタではなく、18歳の少女が映っていた。


「え、誰だこれ?」


少女——名前は「ミホ」らしい——は身長158cm、健康的な曲線美を持つ体型だった。腰まで伸びるストレートの黒髪はシルクのように滑らかで、前髪は軽いシースルーバングがトレンド感を添えている。目はアーモンド形でキリッとした一重寄りの二重、瞳は深みのある漆黒。鼻は自然に整った小ぶりな形、頬にはほのかな血色感、唇はぷっくり厚めの鮮やかな赤み。そして肌は、まるでガラス細工のような透明感と完璧な白さ——アジア全域で憧れられる「ガラス肌」そのものだった。


「俺が…こんな可愛い子に?」


ケンタ、いやミホは呆然と鏡を見つめた。


「おい、ミホちゃん、準備OK?」


振り返ると、カメラを持ったスタッフとニヤつく監督がいた。渡された台本にはこう書かれていた。


『素人系18歳ミホのドキドキ初体験』——主演:新人AV女優、ミホ。


「AV女優!?」


ミホ(中身はケンタ)が叫ぶ間もなく、「アクション!」の声。照明が当たり、カメラが回り始めた。


「ちょっと待て、ジーニー!俺こんな有名になりたかったんじゃない!」


だがジーニーの姿はどこにもない。撮影は進み、数日後、ミホのデビュー作はネットで爆発的な話題に。日本のXだけでなく、韓国のインスタ、中国のウェイボー、東南アジアのTikTokで「ミホちゃん」がトレンド入り。街を歩けば「ねえ、あのミホじゃない?」と囁かれ、アジア全域で名が知れ渡った。確かに有名になったが、ケンタが夢見た「俳優としての栄光」とは程遠い現実だった。


耐えかねたミホ(ケンタ)は、ランプを握り潰す勢いで擦り、ジーニーを呼び出した。


「2つ目の願いだ!元のケンタに戻して!」


ジーニーはまたニヤリと笑い、「元通りだろ?」と指を鳴らした。


次の瞬間、ミホはまた別のセットに立っていた。渡された台本にはこうあった。


『ケンタが女体化したミホの秘密』——主演:ミホ。


内容は「ケンタという男が魔法で女体化し、ミホとして新たな人生を歩む」という設定の自主制作AV。ミホが「ケンタ役」を演じるという、頭がこんがらがる展開だ。


「リアルな表情が最高だよ、ミホちゃん!」


監督が絶賛する中、ミホ(ケンタ)は天を仰いだ。「ジーニー、俺をバカにしてるのか?」


低予算のセットで、ケンタの人生がさらに歪められていく。


もう我慢の限界だった。ミホ(ケンタ)は最後の願いを叫んだ。


「3つ目だ!もう有名になりたくない!」


ジーニーは「ああ、隠居だな」と気軽に指を鳴らした。


瞬間、ミホは田舎の山奥に飛ばされていた。周囲は木々と虫の声だけ。目の前にはボロい山小屋と、手に握られたあのランプ。


「はぁ…もう二度と擦らない」


ミホ(中身はケンタ)は力なく呟き、ランプを小屋の隅に放り投げた。だが、そのランプの中では、ジーニーがまだニヤついているのを、読者だけが知っている。

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