5話 マリオネッター
マリオネッター
「でも、エーテル様のお庭には妖精の蛍玉が居るのですか?」
〚そこなのよ、この娘が来る前は蛍玉なんて居なかったわ、
あの娘が蛍玉を作る事は出来ないと思うから、
何処からか呼んでいるのかしら。〛
「呼ぶ?呼ぶぅ・・・・。もしかしたら!」
「レミ、ちょっとおいで」
ララがレミを呼んで、〔魔眼〕
「あんた、レベルアップしてるじゃないの。
もう蛍玉じゃない。妖精だよ。
加護も私、シルフ様、ウインディーネ様、エーテル様。四つも付いてる。
もう少し頑張れば精霊にだって成れそうじゃない。」
「それに、空間魔法に、あれ、何だ此れ。マリオネッターLV1」
〚えっ?マリオネッター?それすごく珍しいわよ。〛
エーテル様が驚いています。
ララも
「あの、私、聞いた事が無いんですが、どの様な事が出来るのですか?」
〚最初は、読んで字のごとくね、
生命の無い人形を思い通りに動かす権能だけど、
レベルが上がると、意識有る者も操る事が出来る、
強力なヒュプノに成る可能性があるわ。〛
ララの眉毛がピクリと動きます。
「危険ですね、あのアッパラペが、考えなしに、
人を操る危険性は、筆舌に尽くしがたいですね。
今のうちに対処した方が良いかもしれませんね。」
危ない雰囲気を感じ取ったエーテルが
〚ララ、ちょっと待って。如何する積りなの〛
ララが大きな裁ちばさみを取り出し、
「他者に危険が及ばない内に、布と綿に戻します。」
レミが慌てて、さっきまで動いていた縫い包みの中に隠れようとします。
お尻が丸出しです。エーテルが笑をこらえながら
〚ララ、ちょっと待って。
レミの処遇については他の神々たちの 意見も聞きましょうょ。
まして、マリオネッターがヒュプノを使えるには、
かなりレベルを上げなければ成らないし、
レミがそこに到達するのは無理だと思うわ。〛
ララが「ふ~ん、」と考えながら、
手に持った鋏をシャキシャキと動かすと、
レミが慌てて縫い包みの中に潜り込もうとします。
あらあら、お尻は隠れましたが、頭が出てしまいました。
急いで頭を押さえます。
それを見てララも気をそがれたのか、鋏を仕舞って。
「いいわ、もう。」
レミの所に行き、首根っこを捕まえ、持ち上げると、
「レミ、お前、もっと針と糸の、いや、造形の勉強をしなさい、
こんなゾンビみたいな縫い包みじゃあ、縫い包みが可哀そうだよ。」
それを聞いたレミが、持ち上げられたままぶらんと脱力します。
ショックだった様です。
「お前でも気落ちする事が有るんかぃ。」と言って、
右手にレミ、左手にレミ手製の兎の縫い包みを持って、
オト様の所に向います。
次話:オト様に相談