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ディア・プロキシマ  作者: 名江ゆうな
8/12

Voice②

 今日も音がする。



 私の嫌いな音だ。



 逃げたくても逃げられないその音は、



 金属と金属が擦れて火花を散らす。



 或いは錆びた鉄の苦い味。



 その音は耳を付きまとい、



 血液のように細部を循環し、



 それは私の体の一部なのかもしれない。



 この巻車が普及した世の中で音を遮断することはできない。



 耳を塞いでも身体の中から音は湧く。



 目を閉じても巻車が暗闇から迫ってくる。



 世界の血液であるかのような巻車から逃れることはできない。



 逃れることができるとすれば、きっと天国か地獄だろう。



 音が怖くて逃げてたどり着いた先がここなのかはわからない。



 音は消えない。



 目の前の怖さから逃げることはできない。

 でも、だけど、



 光の傍にいると恐怖が和らぐ。



 音は消えないが震えが治まる。



 あたたかい。



 この感覚は私の中で初めてだ。



 知識では知っているけれど、



 この感覚は私の中で初めてだ。


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