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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第六話 誰も取り残さないために
98/154

(22)




「フィオ無理だ!

さっさと逃げねぇと、限界だ!

このままじゃ皆、死んじまう!」




マージェスの両手は震え、これ以上の無茶はできないと皆に訴える。




「人が欠けてもダメなの! 1つの力では守れない!

ここで逃げたら、大地を取り残す事になる!」




フィオの声に背中を押された様に、真っ先にグリフィンが飾りに触れた。




 誰かに取り残されたり、誰かを残したままにして生きてきた。

嘗ての恵まれた世界で、生徒全員を取り残す事なく夢に導こうと努力してきた。

枠からこぼれ落ちても見逃さない。

目の前にある伸びようとする芽を枯らす事に繋がる行為こそ、未来を歪める要因になってしまうと考えてきた。




 世界が崩れ落ちようとも、信念を貫き通した。

西の島で、共に暮らしてきた人々を取り残さないために、歪な天候に抗おうと自らが立ち上がらせた。

でもそうして招いたのは、自分以外の全員の死だった。

奇跡的に昇った空島でも碌に力を出せず、リヴィアを残して魔女に敗れた。




 上手くやろうとすればするほど、残酷な結果を突きつけられるばかりだった。

大抵がそういった末路ならば、熱くなる理由はなく、時間の無駄だと懸命になる事を辞める者は多かった。

気付けばそれもまた、何かを取り残す事に繋がる要因だった。




「早くしろ!

出せるだけの手を打たないで、この先何ができる!?」




諦めずに戦う子ども達がいる。

身体が元より変わってしまっても、尚も守ろうと我武者羅になる子ども達が。

一体誰を見て、ここまでの存在になれたというのか。




「ここで引くな!

俺達にこそ責任がある事だろう!

今死にかけているのは大地だ!」




 グリフィンの声が(なだ)れ込んだ時には、フィオの手元に多くの手が重なっていた。

多くの体温で熱を帯びた先代オルガの飾りは、白銀の光を増して広く漂わせていく。

フィオは込められた力に重みを感じると、3人を引き連れて船縁に駆けた。




「路が出るって何だよ、フィオ!」



「路!?」




ジェドの慌ただしい問いかけに、ビクターとシェナも目を瞬く。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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