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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第六話 誰も取り残さないために
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(16)




 強風が漁船とコアの距離を広げていく。

宙で攻撃し続ける守護神の竜は、空島で見た呪われた姿の様に負傷していた。

我を忘れて我武者羅になる姿に、リヴィアをはじめ、仲間の精霊達が鎮めようと眼光を放ちながら接近する。




 精霊達や竜の青い血飛沫(ちしぶき)が時折、船体や皆の肌を打った。

コアは炎や牙の攻撃を上半身に受けながらも、下半身では防御に努め、浮力を維持しようと懸命になっている。

一時退避していた海洋生物達が、鏡の蛸を筆頭に墨を固めた錘を生み出していた事で、海底に引き摺り込もうとしている影響だった。




 この時、武器を掴んで前のめりになる漁師達が、コアの腹が曝されている事に気付くと、急所とされる蠢く光の数々に弾と矢を放つ体勢になる。




 グレンがビクターの肩を引くと、例のピストルとコアに目を往復させながら言う。




「そいつで狙え! お前ならやれる!」




ピストルの閃光ならば、この距離でも届くに違いない。ビクターを中心に攻撃を仕掛け、射程距離を改めて詰める。

そう判断したグレンを聞き入れた周囲は、動き出した。




「シェナ、頼めるか!?」




グリフィンは彼女の小さな身体に触れて訊ねる。




 指示を受けた2人は力強く答えると、ビクターが舳先に颯爽と登り、ピストルを抜いた。

途端、黒い陽炎が彼の身体を船首に巻きつける様にして現れる。

これにカイルが近づくと、まるで枕を叩く様に陽炎に触れた。

冷気のクッションの様な感覚が奇妙でならず、眉を寄せる。




「何だこいつ。新入りか?」




ビクターがその疑問に振り返るや否や、周囲が声を上げた。

中でもシェナのそれが鋭く、突風が大きく漁船を方向転換させ、舳先がコアに真っ直ぐに向く。




「あんたの目、何!? 何が見えるの、それ!?」




一体何の事かとビクターは首を傾げる。

皆は、彼の右目が水色に灯る光景に身震いした。

水色とはいえ、灰色や黒、白や紺と変化を見せる不思議な瞳をしている。

だが本人は、これに眩しさを感じなければ痛みもなかった。

ビクターはそっと右目に触れてみると、陽炎の手触りと同じで柔らかく、冷たいものを感じた。

右半身を見ると、黒い陽炎が棚引いている。




「ビクター、前!」




ジェドの怒号が飛ぶと、他の皆も同時にコアに向く。




 ここまでフィオの浮上をじっと待ち構えていたジェドだが、どうにもこの位置では死角が多く、視野も狭い。

それに、すっかり匂いに頼るようになっているが故に、周辺の生物達の血の臭いで彼女を嗅ぎつけられなかった。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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