表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第一話 東の島の出来事
9/154

(7)




 ジェドとフィオはビクターを暫し見つめ、はっとした。

彼は、一時的に装備したナイフや金槌(かなづち)など、大人が持つ装備ベルトを提げている。

とは言っても、大き過ぎるそれを(たすき)がけにしていた。




「かせ」



「これ、ここに いれるといいわ」




2人はポケットに次々と隠せるものを隠していった。

せっかく手に入れたものを失くす訳にはいかない。

失くしてしまっては、(いかだ)が出来上がらないのだから。

戸惑うビクターは、2人にされるがままベルトを奪われる。

それは大きくて隠しきれないため、他の危険物と共に近くの茂みにジェドが押し込んだ。

細かな釘などは彼のポケットに詰め込まれていく。




「こいよ」



「あたらしいこ! あたらしいこ!」




雷雨もそっちのけに、フィオは先ゆくジェドの後ろで興奮のあまり飛び跳ねて笑う。

島には自分以外に女の子がおらず、迎え入れる気持ちで溢れていた。

それでも未だ無言のままのビクターだが、2人は気にせず彼の手を引いて走る。






 長老の家では、低体温症だと騒ぐ大人達が行き交っていた。

世話係として共に住むアリーは、漂流した幼児に涙目になりながら懸命に呼びかけていた。




 逼迫したこの場に立ち尽くす3人は、横たわる少女に瞼を失う。

浅黒い肌に、綺麗な髪は月を見ている様に鮮やかで、短い。

食事をしていなかったのか、体は酷く(やつ)れていた。

自分達も細い方だが、彼女よりも肉付きはある。




 そこへ泣き声がし、ビクターの肩が跳ね上がる。

少女の声は甲高いが、弱々しく、気が付いて早々身を起こしては背中を壁に預けた。

縮こまって震える様子を皆が眺めた時、少女の手足首と首の肌の色の違いに疑問を抱いた。

不思議な日焼けをしていると、3人も穴が開くほど見つめてしまう。

その視線から逃げる様に、少女は麻の毛布を頭から被ると僅かな隙間から周囲を覗いた。




「こわくないわ!」




フィオは大人達の間を縫って出ると、小さく(うずくま)る少女に近付く。

だが少女は余計に怖がり、力無い悲鳴を上げて更に壁に張り付いた。




「だいじょうぶ!

だいじょうぶって、いってみて!」



「だいじょうぶじゃねぇだろ、そいつ」




ジェドが割り込むと、その背後からビクターも近付いた。

背が高い彼の影が石ころの様な少女に被さると、彼女の毛布を掴む手が強まり、視線が彼に向く。

この子は一体どこからやって来たのか。

別の世界があるならば、自分も行けるのではないか。

ビクターはつい、彼女を見ながらそんな事を考えていた。




「そいつじゃない! ……なんていうの?」




名前を訊ねるフィオだが、長老は彼女の頭を撫でて鎮めた。

見知らぬ地で見知らぬ人々に囲まれては、発言もできまい。




「慌てるなフィオ……ジェドもビクターも、見下ろすのではなく座ってごらん」




長老の柔らかな声に、少女は怯えながらも毛布の隙間を広げる。

そこから順に、腰掛けようとするジェドとビクターを首で追った。

その様子から、どうやら言葉は分かっているのか。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ