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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第六話 誰も取り残さないために
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(6)




「フィオ!」




 3人を始め、周囲からの声が重なった瞬間、フィオは息を吸い込むと両手を船縁に叩きつけた。

両拳がめり込んだ衝撃で漁船が背後に傾くと、目を焼きつけるほどの眩い白銀の光が、瞬く間に一帯を包んだ。

紛れる鋭い金属音に耳を劈かれそうになりながら、漁船の皆が薄目を開くと、不意に飛び込んだ光景に圧倒されてしまう。




 コアの激痛の叫びが天を揺らし、地震を起こした。




 4人は、あの海底で見た棘だらけの鏡の封印を、目の前の事態と重ねる。

それよりも遥かに太い数多の棘が、宙を斜めに突き上げる様に船底から長く剥き出していた。

突き出るそれらはコアの身体を貫き、掲げられていた球体の攻撃を阻止した。




 球体が呆気なく落ちていくところ、シャンをはじめ、ミラー族が直ちに鎖と鏡のブーメランで砕いていく。

その残骸を精霊達が炎で焼き尽くした。




 辺りに共に浮上していたガラクタが浮力を失い、コアの黒い血と共に散っていく。

それでもコアは笑みを絞り出すと、フィオの壮大な攻撃がめり込む身体を見下ろし、鋭い眼光で棘を溶かしていく。

まるで深い根を張る様に海上で踏ん張ると、その動きに合わせて再び地震が起きた。




 縦揺れが津波を招き、フィオが放った棘の山は、甲高い音を上げながら砕かれていく。

漁船は波によって海面を舐める様に縦になるが、4人や大人達は身体を支えきれずに後方へ転げてしまう。




 傾斜がかかる漁船を冷静に観察したシェナは、船首まで駆け登ると声を張った。




「ダメよ、下ろして! ひっくり返るじゃないっ!

早く下ろすのよっ!」




漁船がいよいよ垂直になると、シェナは舳先の傍の縁にぶら下がる。

それを受け止めようと、真下では3人や大人達の腕が声と共に伸びる。

その刹那、あらぬ方角から旋風が吹き抜け、漁船が後方から一気に押し上げられると波を越え始めた。




 奇跡的に波長に乗るや否や急降下する。

まるで強引に巨岩を越える様な感覚に、皆は悲鳴が止まらない。




 風はシェナの感情に従い、津波も払拭しようと天から圧力をかけてくる。

真下に押し込んでくるそれに、漁船内の皆は床に貼り付けになり、飛翔していた精霊達までが落下し、ミラー族は海に沈められてしまう。




「ああ、そんなっ! どうしよう、ごめんっ!

もうっ!」




シェナは風を抜けて起き上がると、やり過ぎてしまう風に地団太を踏む。

しかし頭上を見上げれば、リヴィアが閃光の如く眼光を引いて通過し、精霊達は忽ち浮上した。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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