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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第六話 誰も取り残さないために
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(4)




 コアは事態に憤る。

見るに堪えない現象と体感に、腹の光を増幅させながら、叫声を轟かせた。

ビクターに目を疑うのは他の神々も同じだが、事態を整理する間もなく、コアの両手が空と海を幾度となく薙ぎ払う。




 何もかもが邪魔だった。

住まいを削りたおしていく人間に尚も寄り添う同じ神々すら、目障りだった。

同じ目に遭い続けて苦しみ、手に負えない思いまでしただろうというのに、人間を守り続ける。

どうせ繰り返す連中に寄り添い、身を削り続ける様が見苦しい。




 開放的な地球が欲しい。

そのたった1つの選択に水を差す者など、許せなかった。

痛めつけてでも分からせてやりたかった。

なのに空も海も、大地を封じようとする。




 一切の言葉を失った今、憤怒による震えを叫びに変える事しかできなくなっていた。

滾る怒りは腹の光を幾多も増やし、力を掻き立たせる。




 緩やかに形成されていくのは、またしても、あの地球を模した巨大な球体だ。

シャンとリヴィアの眼に恐怖が滲むと、其々の仲間に声と光で合図し、攻撃態勢を取る。

しかし、回復が追いついた人数は一握りで、受け身を取ったところで阻止しきれない事など、ミラー族には見え透いていた。

それでも人間に、4人に攻撃を受けさせるまいと、鏡の結界を張りに各所へ一斉に散らばった。






 フィオは瞳を濁らせ、この異変に身震いしながら、船縁に拳をあてがう。

彼女の眼もまた、これから起こる事態を鮮明に捉えていた。

だが自分達には、それを覆す力がきっとある筈だろう。

そう信じているからこそ、ここまで来られた。

映し出される運命に振り回されたりはしない。

今よりももっと先の未来の景色が見えるからこそ、自分達はきっと、必ずそれに向けた備えができる。




 とは言えどうしたものかと、フィオは辺りに視線を這わせた。

漁船が方向転換した今、コアの真横に接近している。

精霊達やミラー族は、コアの仮面と腹を集中的に狙っていた。

共に戦う大人達は、神々の動きからコアの急所を把握し、火矢やライフルを構える。

その動きは我武者羅だった。

自分達の無茶を幾度となく制御してきた大人達が、今では同じ動きをしている。

血の繋がらない他人であっても関係ない。

彼等は間違いなく両親であり、これまでも、この先も、自分達の指針だ。

そうでなければ、困るのだ。




 フィオは歯を食いしばると鏡の双眼を尖らせ、母の飾りを取り出す。

碌に扱い方を知らないが、必ず何かを感じ取れるだろうと船縁に力強く置くと、機会を探った。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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