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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第五話 真実と向き合うことが
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(14)




4人の騒ぎに大人達も割り込んだ。




 ビクターとシャンディアの手の中に、全面が鏡張りになったピストルが、回転しながら現れた。

片方の側面にフェーダーの様なスライドゲージが取りつけられ、その反対側には直径3センチほどのダイヤル式のギアが光っている。




 シャンの指示の元、海洋生物達が大海原を巡って得られた、新たな戦力。

それが打ち上げられた時、シャンディアはシャンの胸の内を悟った。

誰にも触れられなくなったその武器もまた、呪いを秘めている。

触れる事で何が起こるのかを熟知しているシャンは、再びそれを浮上させる事を躊躇していた。




 宙に浮かぶそれに食い入るのは、むしろ大人達の方で、レックスが口をあんぐりさせる。




「冗談はよせシャンディア、まるでオモチャだぞ!?」




そんな言葉も余所に、ビクターはそれに触れようとするが、シャンディアが口を開く前にリヴィアが待ったをかけた。




「それはコアの力を併合させている……上手く付き合いなさい……」




誰もが耳を疑うと、彼女はそのまま激戦区へ発った。






 ビクターは思わず手を引っ込めると、シャンディアは、淡い眼光を灯したまま静かに告げた。




「私達は陸に上がる事ができない……陸を守るのは大地の務め……しかしコアが暴走してしまった……それを止めるためには、人間に縋る他はなかった……私達もまた、あなた達を酷く傷つけ、悲しみに陥れた……シャンはあんな風だけど、これを重く受け止めてる……私だって……」




シャンディアの眼光が涙に変わり、頬を伝うと、小さく零れた謝罪と共に苦渋を滲ませた。

そんな容易い言葉で片付く様な事態ではないと分かっている傍ら、シャンが言う自然現象という発言もまた、拭いきれなかった。




 ピストルは、表面にシャンディアの光を反射させながら、辺りの景色や人々を映し出す。




「惨事が止んで間もなく、これは主を失った。新たな主の手に渡った時、その力は発揮される。この武器は、陸に放たれたコアの呪いを払拭するために生まれた。竜の女王が言った通り、コアの力を敢えて利用し、私達の力を併合させている」




ビクターは、未だそれに触れていないにも関わらず、重みを感じてならなかった。

奇妙な容姿をしたその武器は、人の手を渡って、数々の複雑な事情と要因を絡めている。

その様な物が生まれ、捨てられる世界に、一体何があったのか。

神々がこの様な選択をせざるを得なくなった理由を、もっと知る必要があるのではないか。




「終わりにする。

君達はずっとそう願い続けて、苦しんできた。

俺達が決めてみせる。

そしてこの先も、必ず変えてみせる」




合間に飛び込む地鳴りの音の中、ビクターはシャンディアに頷くと、それに後の3人が続いた。

グリフィンや漁師達もまた、彼等の決定に腹を括った表情を見せる。

ビクターは、与えられた戦力に触れる事を最初で最後にすると誓うと、改めて手を伸ばした。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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