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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第五話 真実と向き合うことが
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(13)




 漁船を出そうとする4人の無謀な選択に、大人達が肯定する筈もなかった。

浜の上で傾き、沈んでいる影響で、進水させるのが難しかった。

しかしシェナは、そこから脱してみせると大きく言い張る。




「リヴィア、今のあたし達は、これまでとは違う。

あなたが言う人間から、少し外れてしまった。

でもそれは、大地のために必要な変化よ」



「だが向こうへ合流しては命に係わる」



「でもフィオの力は必要なんでしょ?

友達だけそっちへやれって?そんな事、あたし達が許さないって、分かってるくせに」



「俺達に用があんだろうがよ……コアも……君達も……」




力尽きたままの漁船に手を付いたジェドは、槍を肩に、リヴィアを見上げる。

その眼差しは尖り、時折、暴走し続けるコアに視線を向けては熱く揺らいだ。




「ただ手ぶらであいつに突っ込むんじゃねぇぜ、こっちは……」



「……どういう意味」




リヴィアの顔が曇ると、フィオが割って出た。

そこに浮かぶ鏡の双眼に、リヴィアの眉が寄る。

だがそれも束の間で、彼女は、次第に映し出される光景に息を呑んだ。

それを、漁師達やグリフィンが覗き込む。




「信じてリヴィア。

私達は、貴方がくれた言葉通りにやってみせる。

大丈夫だから」



「とは言えフィオ、道は険しい」



「だから当然、空と海は任せる。間は俺達が取る。

ここ一帯は俺達が仕切る海だ。上手く波に乗ってみせる」




漁船の裏から現れたビクターは、崩れた様子から打って変わり、自分達の作戦の賭けに漲っていた。




「そのためには、まだ戦力がいる」






 追いついたシャンディアは、その場の皆を見回した後に、ビクターに目を光らせる。

彼女の意味深な瞳の震えから、言葉を紡いでいるのか。




 シャンディアはビクターの手を取ると、彼の掌を上向きにさせ、自らの手をその上に被せた。

何を訊ねる隙もないまま、白銀の光が灯り始めると、物陰が浮かび上がる。




 周囲はあまりの眩しさに薄目で見守るところ、端のリヴィアは、先の大半を悟ると瞼を閉じ、背を向けた。

閉ざされた視界に、間もなく現れようとする物陰の正体を見ては、拳を握る。

陸の命を守るための代償は計り知れず、失われたものに対する無念に震え、肩を縮めた。

世界に訪れた凄惨な事態を経てでも、残された人々は、大地を殺す事や、他の神々を恨む選択をせずにいる。

亡き海の神の願いは今こそ、象られようとしているのか。




「これは……シャンディア、これ何だよ!?」



「嘘だろ、槍より有利じゃねぇか!」



「鏡でできてるの!?」



「なんであんたにそんなものが渡されるの?」









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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