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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: Terra
第五話 真実と向き合うことが
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(6)




 4人は、動かないシャンとリヴィアに震え上がり、駆け寄る。

その時、最後尾になったビクターは、先を行く3人に目が留まると、足が止まった。




 フィオがシャンの肩を必死に揺さぶり、ジェドがリヴィアの上体を起こす。

シェナはその状況から再びコアを見据え、身構えていた。

その姿はまるで、いつかのフィオの様にこちらを振り向く気配がない。




 こんな事は今だけだろうと思えば思うほど、何故か足が重くなっていく。

自分はそこに行って、何ができるだろうか。

皆を見ていると、どうしても、何もできない気がしてしまう。

それに拍車をかける様に、フィオが急ぎ戻ってきた。




「ビクター、お願い! 飾りを貸して!」




彼は大きく後退ってしまう。

飾りがフィオに齎す事に恐怖しているのは、もはや自分だけなのだろうか。

彼女の黒い瞳には、薄い白銀の微光が混ざり合っている。

力強い眼差しで、懸命に飾りを求めてくる。

ミラー族の元へ行く事を決めているのだろうか。

そう思う内に、強張る手は、装備ベルトの中の飾りを押さえ付けて出そうとしない。




「それがあれば、シャンやリヴィアを治してあげられるわ!」



「止めろよっ……」




渡して何が起こるのかを痛いほどに知っている。

だからこそ、押さえ付ける手は酷く震えた。

友達との関係を歪めた飾りが、恨めしくてならない。




「お前がそんな事すんなよっ……」



「……ビクター?」




周囲の声が遠ざかっていくと、零した発言が強調されて困惑する。

目先の2人の回復など、彼等の仲間がすればいいだろう。

フィオには人間として、自分の友達として、これまで通り島で生きていて欲しい。




 シャンは上体を持ち上げるのがやっとだが、リヴィアは未だ動かず、ジェドとシェナが引っ切り無しに声をかけている。

そこへグリフィンも駆け付けていた。

他の戦士達は、沖で悶えるコアに掛かりきりだ。




 フィオは、飾りを渡すまいと頑なになるビクターを静かに見つめる。

彼の瞳には、どうしようもない恐怖と迷いが滲み、次の判断の邪魔をしていると悟った。

飾りを渡す事で起こり得る事態を避けようとしている事も。




 互いに譲らないまま暫くして、フィオはビクターの装備ベルトから覗き出る飾りの一部を見ると、彼の腕を掴んだ。




「大丈夫。もう、呑まれたりなんかしない」




汚れた勇ましい顔に、薄い白銀の光を宿した真っ直ぐな瞳が揺れる。

ビクターは、彼女の真剣な表情から間違いないと受け取るも、すぐには手放せなかった。

明らかに魔術をコントロールしてみせる様な言い方が、余計に身体を強張らせていた。




「それは、私のお母さんのものなの」









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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