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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第五話 真実と向き合うことが
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(2)




 ビクターはフィオとジェドを追い抜き、颯爽と島の奥へ走ると、身体の一部が埋もれる仲間の救助に合流した。

数名の大人で瓦礫を持ち上げた際に現れたのは、ぐったりしてしまったアイザックだ。

これに途端、コアに見せつけられた世界での事が蘇る。




 辺りを見渡せば、その時に見た光景と似ていた。

大切な人が埋められてしまう恐怖と悔いに、瓦礫を退かす手が焦り、速まる。

埋もれたままになどしない。

1人残らず苦しみから解放させてみせると、大声でアイザックの意識を確認しながら引き摺り出した。

その時、近くからウィルとリサの泣き声がし、ビクターは2人を探しながらその場を後にする。






 グリフィンが我武者羅になる理由など、他になかった。

目先で泣きながら悲鳴を上げるリサとウィルを押し退けると、嵩張る板や瓦礫を手早く退かしていく。




「じっちゃんとアリーがいる!」



「もちあがんないわ!」




端で騒ぐ2人に一切の返答もせず、グリフィンは重なる板を下ろしていく。

まどろっこしい事この上なく、ある程度の重石や瓦礫が払われると、一番底の板から持ち上げた。

それにリサが目を剥いて飛び跳ねる傍ら、グリフィンは底板の内側に肩を入れ、背中で押し上げようとする。




「人を呼べ、2人共!

あと柱になるものを持ってくるんだ!

板でも何でも、急げ!」




2人はその場で一時慌てると、一目散に駆けていった。




 グリフィンは底板をどうにか押し上げるも、何かが(つか)えてそれ以上は上がらない。

長く支えきれない姿勢だが、絶対に下ろす訳にはいかなかった。




「アリー! エド! 返事しろ!」




板のバランスを考慮しながら、2人がいる筈の奥へ横移動する。

だが板の重みが増し、憎たらしい砂浜に膝から崩れかけた。




 そのまま2人を呼び続けていると、暗がりから腕が伸びた。




「アリー!?」




彼女は力づくで肩まで這い出ると一息吐き、更に身体を引き出していく。




「エドがっ……奥にっ……!」



「分かった、君は先に出るんだ!」



「そんな場合っ!? 潰れちゃうわっ!」




アリーはどうにか身体を引き抜くも、足の激痛に声を上げる。

それでも膝立ちに変わり、頭上の板を持ち上げようとした。




「エド早く! 這って! 這うのよっ!」




しかし応答がない。

2人は顔を見合わせると焦りがより一層込み上げ、長老を呼び続ける。

アリーは不安のあまり、グリフィンと同じ様に背中で板を押し上げた。

それでも、開いたのは僅かな隙間だけだった。

それを頼りに、彼女は横移動しながら長老を呼ぶと




「構うなっ……行けっ……」




(ようや)く届いた声に、グリフィンは激しく首を振る。




「何言ってるんだエド!」



「なっ……このっ……! ふっざけんじゃないわっ!」




アリーのけたたましい怒号が落雷の如く轟いた。




「それが、あの子達に見せたい姿!? しっかりしなさいっ!

年寄りを捨てていいなんてルールは、どこにも無いっ!

さぁ、掴みなさいっ! 早く!

ほらあなたも、グリフィンっ!」









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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