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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第三話 しかし 豹変は止まなかった
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(6)




 島の人々は、欠片にさらされた過去の事象や数々の声に、ただ立ち尽くす。




 コアは、欠片の1つたりとも逃さんと、全身から影を滾らせて両腕を開いた。

散りばめられていた欠片が収集されていくと、耳障りで、目障りなこれらを赦さんと示す様に、腹の光が憎悪に震えて蠢く。

穢れなき世界が見たい。

そこに生きていたい。

そうすれば、元の自分を取り戻せるだろうから。




「何という体たらくだ……人類よ!」




コアは吠え飛ばすと、集めた欠片で新たな壁を複数生成し、東の島に向けて片腕を払った。




 ミラー族と竜の精霊達は絶句する。

目にも留まらぬ速さで生み出された壁の進行は、彼等に次の手を打つ間を与えようとはしない。




 紫の光で象られたコアによる鏡の壁は、風を颯爽と切りながら4人に襲いかかる。

通過する風圧によって波や飛沫が立ち、追いかける神々の接近を妨げていく。




「皆逃げて!」




シャンディアの言葉さえも、迫る壁は断ち切ってしまう。

シャンは2本の槍から鎖を放ち、壁を巻き取ろうとした。

それを追う様に、後のミラー族が銛や鏡のブーメランで壁を打ち砕こうとする。

竜の精霊達は稲妻の矢を放ちながら、守護神の竜をはじめ、炎の雨を降らせた。






 人々は迫りくる鏡の壁に絶叫する。

紫の光の尾を引くそれらに続くのは、まるで複数の隕石が降り注ぐ様な欠片の数々だ。

更にその後方から神々の力が合わさる防御術が接近するのが、激しい振動によって明らかになる。




 これが何を意味するのか、特に東の住民達と4人が瞬時に悟った。

見てはいけないとされる巨大な鏡の接近。

それらは次第に分裂していくと、4人に分配する様に散った。




「やめろ……やめろ!

フィオ、シェナ、ジェド、ビクター! 離れろ!」




怒鳴らずにはいられなかった長老を、グリフィンからマージェス、カイル、グレンが追い抜いて行く。




 4人と共にいた子ども達は悲鳴を上げ、あまりの恐怖に彼等から離れようとしない。

しかし皆を巻き込まぬよう、4人は子ども達を力尽くで引き剥がしては乱暴に押し退ける。




 駆けつけた大人達が押しやられた子ども達を受け止めると、更に4人に腕を伸ばす。

4人は皆の手を掴もうとするも、目と鼻の先まで追いついた鏡の壁は音を立ててキューブと化し、まるで口を開く様に4人それぞれを呑み込み、封じた。




挿絵(By みてみん)




 事態は4人の声を呆気なく断ち切り、回転しながら宙に浮上してしまう。

それと入れ替わりに、歯止めが利かなくなった神々による防御術が島に当たった。

家屋が稲妻と炎に焼かれ、鎖と銛と鏡のブーメランで打ち砕かれてしまう。




 放心状態に陥る一帯を前に、コアは狂気の笑いを溢しながら腕を操り、4つのキューブを引き寄せていく。




 ミラー族は、真似られた術がコアの力によって拍車がかかっている事に怒り、震える眼差しを向ける。

黒い稲妻が囲むように奔るキューブは、精霊達による炎や雷でも打ち破れなかった。

憤怒したリヴィアは竜の叫声を天に轟かせた途端、最悪の事態に斧を握り潰した。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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