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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第二話 どんな時も 共に在ろうとした
32/154

(17)



※1400字でお届けします。






 コアに鏡の壁を華麗に打ち砕かれ、ミラー族は、強過ぎる攻撃によって深くまで沈んでしまう。

酷い爆風を受けた竜の精霊達は飛行力を奪われ、溺れかけていた。




 飛散した島の鏡の帳やコアを囲んでいた壁は、まるで落石の様に大きな欠片に変わり、宙を浮遊している。

数多の表面には、嘗てコアが見た景色が絶えず流れる様に再生されていた。




 コアは眼光を鋭くさせるまま、散り散りになるそれらを見回し、どこか呆然としてしまう。

物理的な攻撃から心理的な痛みの全てが、震える息に変わる。

球体の反動は自身にとっても大きく、神々と同様に立ち尽くしていた。

鏡によって抉り出された感覚は、まさに、闇に没した心に穴を空けられた様だ。

見たくも聞きたくもないものと強制的に向き合わせてくる術に、憎しみが滾る。




 飛散した欠片は宙に浮かび続け、まるで宇宙を巡る惑星か。

地面に降り積もる事をしないそれらは、1つ1つが生きているのかと惑わせる。

ミラー族による攻撃は継続的で、これまでにない効果を(もたら)していた。




 そこへリヴィアが守護神の竜によって引き上げられ、斧を掴み直す。

しかし、次の攻撃を下すまでの力を出し切れない。

そんな女王を無様に思うコアは、(おもむろ)に口角を上げる。




「抵抗は効かん……我が手で、意のままにしてやる……」




コアの発言を横によろめくリヴィアは、竜の髭に掴まっては尚も冷笑を浮かべて見せた。

そこへ飛沫(しぶき)が上がり、頬白鮫に身を預けたシャンが浮上する。

彼はその場に槍を突いてどうにか立ち上がると、コアを鼻で笑い飛ばした。




「強欲な……まるで人間と何ら変わらんな、大地よ……」




コアはシャンに流し目を向けると同時に、灼熱の眼光を放つ。

見越していた頬白鮫が退避すると、シャンは宙返りをし、後方に控えていた別の鮫に飛び移った。




「奴等がくれたものなど何もあらん……貴様等とて、そうだろう……」




シャンを見下ろすコアの視界を、リヴィアの群青の眼光が遮る。




「耳を貸さんか……人間は未だ、其方によって十二分に苦しんでいる……それらが物語っているのではないのか……」




リヴィアは言い終わりに、視線をコアの怪し気な腹に向けた。

微かながら、そこに蠢く灰色の光の数々が上げる声を聞きつける。

嘗てはそこに幸福を蓄えられた筈だった。

それすらも、コアは忘れてしまった。




「人類を根絶やしにして(ようや)く我等は救われる……最後だ、我が配下になれ神々共……負わされてきた苦労を、終わらせられよう……」



()れ者がっ……首を断たねば解らぬかっ……!」




リヴィアが刃を光らせると、背後に精霊達が並ぶ。

その真下には、海面に浮上したミラー族が武器を構えた。

各所から放たれる威嚇は、コアを逆撫でする。




「蛇を断てたからとて、今日(こんにち)も事が上手く運ぶと信じておるのか、竜よ……生温い……」




コアは泥が這う様に嘲笑うと、宙に浮遊する鏡の欠片に自らの力を加えた。

掲げられた片手から放たれた紫の閃光は、全ての欠片に輪郭を灯す。

術によって表面に映し出された事象が鮮明になり、そこに流れる物音までがはっきりと聞こえるようになった。






 それらを目の当たりにした島の者達は呆気に取られるが、4人や子ども達にとっては、恐怖の先に見る新鮮さがあった。

そこに映されるあらゆる過去に見覚えがある大人達は、当時の社会状況を強制的に振り返らされる。




「我を抉り、曝す事は即ち……己を曝す事に他ならんぞ、神々よ……」




精霊達やミラー族は、コアによって強調されていく欠片の映像に、激しく血の気が引いていった。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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― 新着の感想 ―
執筆お疲れさまです(^O^) いやあー、リビィアがミラー族の猛攻を受けても怯みもせず、それどころか、神々に冷笑するシーン見て、君何歳? と思わず思わされてしまいました! 貫禄があると言うレベルでもなく…
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