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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第二話 どんな時も 共に在ろうとした
30/154

(15)




 ガラクタに紛れるものは、これまでと違っていた。

雨の様に降り注いでは身体に付着し、海や地面に叩きつけようとするのは、蓄積していた汚泥や淀む汚水だ。

瞬く間に降り注ぐそれらを回避するべく、ミラー族は一気に深く潜り、東の島へ急ぐ。

中でもシャンは、鋭い眼光を飛ばしながら素早いクリック音を放ち、群がる(シャチ)に掴まると速度を上げた。




 竜達が憤り、汚水の雨を焼き払おうと乱雑に火を噴き散らす。

泥の塊による攻撃は精霊達の飛行を妨げ、海に落としていく。

化学物質が含まれる汚水によって、精霊達の特有の細胞や繊維が崩れ始めた。

激痛を上げる神々の声もまた、薄笑みを浮かべるコアの腹に蓄積されていく。






 東の島では、人々が高波の対策を進めていた。

一呑みされても不思議でないちっぽけな島でも、生き延びるために限界まで動き、知恵を絞りに絞り続ける。

簡易的な高台を設け、速やかに木に登るべくロープを使った。

余りのボートや、もはや走るのかどうかも危ういジェットスキーを頼みの綱として、端につける。

同時に漁船の復旧にも着手していた。

幸い、激しく島に乗り上げただけで大破していない。

特に4人は、シャンディアやリヴィアに加勢するべく、漁船の修理に徹しながらその機を覗っていた。




 そこに襲い掛かる汚水と汚泥の雨に環境を乱され、人々は声を荒げる。

鯱に乗って現れたシャンが先に駆け付け、後に続くシャンディアを中心に、ミラー族が一丸となって生み出したのは鏡の帳だ。

合わさる力に厚さが比例し、島を取り囲む閃光の輪が上昇する速さには、誰しもが目を疑う。




 シャンは眩い白銀の光を放つ槍を咥えたまま、鏡の帳を引き終えると、煩わしい雨に向けて眼光を飛ばした。

指示を受けた足元の鯱や、率いる他の群は、潮を噴き上げると雨粒を凝固させて鏡に変える。

鏡の塊と化したそれらは棘になると、狙いをコアに定めた。

シャンは槍を両手に構え、前方に向けて激しく十字に切った時、そこから放たれた白銀の刃と共に数多の鏡の棘がコアに向かって直進した。




 コアは迫りくる攻撃に歯を鳴らし、腹の前に両手を運ぶと、吸収した光を一纏めにする。

稲光が巡る黒い球体を生成すると、脇に構えて身を屈めた。

ミラー族の攻撃諸共、人類を吹き飛ばせるか。

逼迫する状況が、燻んだ仮面と赤い眼に反射する。




 そうはさせまいと、リヴィアと守護神の竜が、未だ降り続く汚水の雨の中を飛翔した。

共に威嚇の声を高々と上げながら、コアに向けて火柱を落とす。

そこに海中からどうにか浮上した精霊達が続き、腕を高々と掲げては、宙を縦に切る様に振り落とした。

忽ち、黒雲から呼び寄せられた複数の落雷がコアを打ちつける。




 コアの悲鳴は雷鳴に打ち消され、神々の攻撃を全身に受けた。

しかし生み出された球体は消えない。

大きく項垂れたコアに隙を見たミラー族は、戦場に引き返すと腕を操り、鏡の壁面をコアの周りに立てていく。

このまま取り囲み、コアに蓄積した闇を鏡の力で抉り出すつもりだ。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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