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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第二話 どんな時も 共に在ろうとした
28/154

(13)




 海からの鏡のブーメランや、空からの火矢や刃の数多の煌めきが、夜を眩く染める。

しかしコアへの衝撃は僅かなもので、戦士達は鎮静を果たせず焦燥するばかりだった。




 コアは再生して硬化した腕で、麓から海中に引き込もうとするミラー族や海洋生物達を押し戻していく。

重石として身体に纏わりつく鏡の墨は、みるみるうちに砕かれていった。




 低空飛行で海面を移動して見せたコアだが、その先で再び守護神の竜に足止めを喰らう。

翼のはためきで起こる高波と大風が、コアの進行を押し留めた。

しかしコアは、激しく舞い上がる飛沫(しぶき)と水柱の合間から灼熱の眼光を放つ。

それを受けた竜は、熱さに悲鳴を轟かせながら逃げる様に浮上し、コアの頭上目掛けて紺碧の炎を噴いた。




 (たけ)り狂う竜に汗を滲ませる精霊達や、ミラー族が更に加勢する。空と海に満ちた闇を幾多も駆け巡る彼等の飛行や泳ぎは、光の尾を引きながらコアを取り囲んでいく。

それはまるで、流星痕(りゅうせいこん)を巨大な円状に描いている様だった。




 目まぐるしく行き交う光や炎に、コアの眼が揺らぐ。

その隙を突かれ、ミラー族による鏡のブーメランの攻撃が、腹の複数の光に命中した。

多くの苦痛を吸収して肥大した燻んだ光は、大気に泡として解放され、弾ける。




 それによる激痛と原動力の減少の怒りに、コアは眼光をミラー族や海洋生物に降らせた。

それは形を変え、呪いの根源である陽炎になる。

それに触れられるまいと、ミラー族は瞬時に鏡の盾で弾き返した。

また竜の精霊達は、炎を連続的に吹きつけて陽炎を焼き尽くしていく。

コアは憎しみに駆られ、同じ神や、守り通してきた生命を呪い殺そうとした。




 そこに隙を見たのは1人の精霊だ。

目元から頭部を白銀の鱗でできた(かぶと)で包み、竜と同じ群青の(たてがみ)をした髪を細かく靡かせている。

揺れる衣は夜空に溶け込む様で、その隙間から伸びる逞しい両腕が鎌を握り、刃に群青の眼光を滑らせた。

前傾姿勢で宙を直進すると鎌を振り翳し、コアの明々と光る熱を帯びた眼に狙いを定める。

守護神の竜の眼球と同等の大きさをするそこに、精霊の姿が浮かんだ。

コアは冷笑すると、陽炎を絡めた眼光を飛ばす。




 精霊は間一髪、攻撃を薙ぎ払えたものの、鎌は柄の半ばから断たれた。

マグマがそこを這って溶かしていくと、手元に到達しかかるところで投げ捨てる。

それと入れ替わりに、コアの拳が精霊の目と鼻の先まで接近する。

遥か彼方へ吹き飛ぶ未来が過った、その刹那、リヴィアはその精霊を抱えるとコアの拳を喰らう寸前で回避した。




 2人が一時退避する最中、身体を竜の鱗の装甲で覆う別の精霊達がコアに突撃する。

剣と盾を炎を交えて操る彼等は、4人が空島で目にする事のなかった新たな竜の戦士達だった。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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― 新着の感想 ―
どうもです! コアが憎しみに駆られ、同類の神や生物たちを殺そうとした、このシーンで思わされたのが、神も人も同じ心を持っていると言う風に感じました! やはり、神とて、憎しみの連鎖を断ち切る事は困難なんで…
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