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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第二話 どんな時も 共に在ろうとした
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(6)




「ほうっ……」




リヴィアが重きを置く点に、シャンは、フィオだけでなくビクターの影を見る。

それに汗を滲ませ、苦笑を浮かべるのがやっとだった。




「無論、其方等が送り込んだものに何も思わぬ訳もないがなっ!」



「そんな、違う! 違います!」




シャンディアは堪らず2人の仲介に入る。




「竜の女王、私達は決して天に呪いを追いやったのではない! お分かりでしょう、1つの力だけでは相手を断ち切る事などできなかった」




リヴィアは斧の手を緩めるも、引かなかった。

コアが生み出した紛い物の魔女が、島を呪った。

それを断ち切るためには、他ならぬ彼等の力が必要だった。




 この状況に呆気に取られている4人に、リヴィアは僅かに視線を向ける。

彼等と初めて顔を合わせた際に嗅ぎつけた、異質の血のニオイ。

魔女は、コアは、彼等を求めた。

人類を消し飛ばす力を得るには十分な材料だろう。

しかしその偉力は、4人は、そのための存在ではない。

何故ならそこには、人の血も流れているのだから。




「神ならば潔く在れ……我々は人間ではないぞ」




邪魔なシャンの声が、更にリヴィアの焦燥を掻き立てた。

彼もまた、斧を押しやる力を緩めない。




「この選択は未来のため。世の生物全ての、だ。

守るには時として手段も選ばんとなぁ……何をそんなにお怒りか……其方も気付いていたというのに……あの子等が迎える、今日(こんにち)を」




リヴィアは眼を見張り、シャンを半端な力で突き放す。

微動だにしないシャンは、槍を静かに消すといよいよコアに向かおうとする。

まるで人間に対して心を失くした様な態度だが、その本心を知るシャンディアはリヴィアに首だけで否定する。




「狂ったものだなっ……人間は従者ではあらんぞっ……」




リヴィアは背を向けたまま、冷徹なシャンに静かに溢す。

彼は激戦区に向かう間際で足を止めた。




「我々は生命の維持のために責務を全うするまで……」




曇る顔を見せないまま告げると、彼はフィオに眼を向ける。

そしてそこに、先代オルガを重ねた。

よく似ている姿こそ、いつかに言い遺された僅かなる再会を意味しているのか。




「好きで下すものか……こうせざるを得なくなったのも、自然現象にすぎん」




耳を疑う発言にリヴィアが大きく振り返った矢先、シャンの槍が喉を突きかける。




「増援には礼を言うが、一貫した眼を持たん内は足手まといだ、女王。我等だけでやれるのか。その子なくして。俺にはそれが見えんがなぁ」




彼は槍を引くと颯爽と海へ消え去った。




 荒波を突っ切り、激戦区の仲間の状況に眼を光らせる。

彼等は俊敏さを維持し、戦い続けていた。

コアは空中からの攻撃に少なからず痛手を負っている。

浮上を妨げられている今、このまま鎮静に追い込めるかと、シャンは泳ぐ速度を更に速めた。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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