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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第二話 どんな時も 共に在ろうとした
20/154

(5)




 いつしか雨は止み、かわって、竜の精霊達による矢と剣が降り注ぐ。

彼等は目にも留まらぬ速さで、コアの仮面や露出する頬や身体を斬りつけていく。




 麓のミラー族は、痛みを上げて巨体を振るコアの隙を見計らい、海洋生物達による(ハサミ)や墨、脚の力を借りて海中に引き込もうとする。




 コアは、空からの増援に合わせて一層力を振り絞る海の神に怒りを滾らせる。




「瓦礫に正気を砕かれたか……毒を呑まされながら未だ人間を守るなど、貴様等は何を見ているっ!」




コアの拳が海を打ちつけた途端、その身体を這い上ろうとしていた鏡の蛸や糸海月の脚は、一瞬にして剥がれ落ちてしまう。

また、この衝撃にミラー族が悲鳴を上げた事で、コアの腹に灰色に燻んだ光が集まった。




 そこへ、どこからともなくリヴィアが風を切って現れ、蠢く光の数々を打ち消そうと青の炎を吹いた。

矢の如く伸びたそれはしかし、海底から即座に引き上げられた鉄の瓦礫によって喰い止められる。




 コアは瓦礫に重力を働かせると、再び球体を生成してはリヴィアに放った。

彼女はそれを躱すどころか前傾になり、真正面から受け止めようとする。

流れる眼光が、真横に構えた斧の柄に光る銀の鱗に落ちた時、竜の眼を模した群青の石が光る。

光はそのまま刃に流れ、投じられた球体を華麗に両断した。




 その間を直進して迫るリヴィアを前に、コアは連続的に灼熱の眼光を放つ。

その危機に方向転換したリヴィアと入れ替わる様に、仲間の精霊達の矢が数発、マグマに溶けた。




 コアは上からの攻撃に焦燥しながらも、続いて降りかかろうとする守護神の竜に口角を上げる。

互いに体格は変わらず、掴み、叩き落すなど造作もなかった。




 竜の胴体にコアの指が絡むと、悲鳴と青い炎が乱雑に上がる。

それに真っ先に怒りの抵抗を見せたのは、子である使者達だ。

炎の雨がコアに降り注いだ時、腹の光が1つ焼かれた。

その激痛と衝撃によって地震が起こり、麓のミラー族や島の人々までが体勢を崩した。




 リヴィアはこの時、東の騒ぎを聞きつけると従者に腕を振り、攻撃の継続を告げると速やかに向きを変えた。

低空飛行し、速度を上げると共に青の眼光越しにシャンを見据える。

斧を構える両手には、彼が近付くにつれ力が増した。






 気配を察したシャンはフィオから目を逸らすと、2本の槍を構えた。

複雑な感情が入り混じる空島の女王リヴィアは、今にも彼を眼光で貫こうと迫る。




 ()ち合う互いの武器の音に、周囲は足先から頭頂部にまで振動が迸る。

高く舞い上がる砂煙に(はし)るシャンの白銀の光と、リヴィアの青白い稲光が、互いの強靭さを露わにした。

睨み合いが続く中、シャンディアは2人の元へ駆けつけようとする。

しかしシャンは一言、彼女に下がれと告げた。




「失態をお許し願おう、女王っ……だがお分かりだろうっ……大地はもはや神ではないっ……今はこれどころではないっ……」



「勘違いするな筆頭殿……この刃は其方等の大した判断に、だ」









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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